「ふぁ〜、
気温がぬるくなってまいりました」
上半身裸体。
乾布摩擦用の手拭いには、女体の文字が。
「わたくしの体を、
愛しき文字が行ったり来たり」
しなやかな手つきで円を描く。
「手拭いが人肌になってまいりました」
女体という文字だけで法悦にひたる。
なんと安上がりな弟子であろう。
「むわっ、
そこでもぞもぞしていらっしゃるのは」
視界の片隅に、何かをとらえた。
「ひきがえるさんではございませんか」
体長12センチ。
毒液の使い手は、迷惑そうに弟子を見た。
「啓蟄はもう過ぎていますからね。
カエルさんや虫さんが
もぞもぞされているのですね。
むぎょどん!」
50センチほど視線を移動させたところに、
奇妙なものを発見した。
「確かあの場所は、
昨秋、先生が女性の秘所を枝で刻んだところ。
そこから極太のフランクルフトが
飛び出しております。
もしや、啓膣では」
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「何くだらんこと言うとるんや。
頬張りながら門の前を通ったお嬢さんが、
涎とともに落としたんや。
供養の意味もかねて俺が挿した。
それよりそろそろお前の友達がやってくる頃やろ」
弟子の友はエロ写真ファンが高じて、
写真家となった。
現在は、世界中を
人物写真を撮りながら旅している。
「ちんこには〜」
間抜けな声が響き渡った。
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小林 |
「おお、久しぶりやな」 |
写真家 |
「先生。
お元気でございましたか」 |
小林 |
「意味もなくビンビンや」 |
北小岩 |
「随分日に焼けて、
黒光りしていますね」 |
写真家 |
「そうそう、
世の中には自分に瓜二つの顔の持ち主が
三人いると言いますよね。
先生と北小岩くんに
そっくりの男を見つけたから、
写真におさめてきたよ」 |
小林 |
「どりゃどりゃ。
おっ、これは『ごりっぱ族』やな。
なるほど、
俺にそっくりな男は天を衝く巨根かい」 |
写真家 |
「いえいえ。
ごりっぱ族は北小岩くんですね。
先生はこちら」 |
短小で有名な『小指の先族』であった。
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北小岩 |
「ほんとに似てらっしゃいますね」 |
先生の表情が般若に変わる。
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北小岩 |
「おっ、お顔がでございます」
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小林 |
「もう一人は誰や!」 |
写真家 |
「パリはシャンゼリゼ通りで見つけました」 |
小林 |
「恋の都や。
パリジェンヌをアヘアへさせとるんやろ。
見せてみい」 |
写真にうつった男は、
女性の下着を咥えて警官に取り押さえられていた。
パンティ泥棒で捕まったらしい。
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小林 |
「もうええわ」 |
世の中には三人同じ顔の人がいるという。
顔が似ているだけではなく、
モチモノや性行も瓜二つのケースが多いと、
言わざるを得ないであろう。
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