KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百八拾八・・・ペーパー

北小岩 「夕焼けでございます」

瞳の中を、陽がゆっくり沈んでいく。

北小岩 「幼き日を思い出します。
 毎日校庭で日が暮れるまで、
 白球を追いかけておりました。
 あの頃の友たちは、
 どこかの町で、
 元気にやっていらっしゃるので
 ございましょうか」

普段はエロ本のページを追いかけている目に、
ほろほろと熱いものがこみ上げてきた。

パ~プ~

「え~豆腐~~え~豆腐~~~」

「おにいさん、一丁ちょうだい」

小林 「ほほう。
 時代は変われども、
 変わらぬよき風情は残っとるもんやな」

師は、エロ本との物々交換で手に入れた
巨大なイカをぶら下げていた。

北小岩 「先生とともに、
 あたりがすっかり
 イカ臭くなりました」
小林 「人聞きの悪いことを言うんやない。
 それにしても、
 豆腐屋さんのラッパはええもんやな。
 俺がモテまくっていた・・・」

パッパパ~~~~~~~~!

小林 「何や今の音は!」
北小岩 「アルペンホルンのようでございます」

角から姿を現したのは、
『モダントイレットペーパー』と書かれた
のぼりを掲げたリヤカーだった。

「トイレ~、ペーパー!」

小林 「トイレットペーパー屋か!」

北小岩 「あれ?
 数十年会っていなかった、
 わたくしの友でございます。
 それにしても、通常のものと
 若干異なっている気がいたします」
トイレット
ペーパー屋
「おお、北小岩が!
 生きでだが。
 ちょうどええ。
 腰抜かすほど斬新な紙、
 試してくれや」

言うが早いか、
質素なドレッシングルーム状のものを設営した。

トイレット
ペーパー屋
「入れや!」
北小岩 「えっ?」
小林 「せっかくやから、試してみい」

和式便器が置かれているルームに入り、
北小岩くんはパンツをさげた。

トイレット
ペーパー屋
「まずはごれだあ」

弟子がペーパーをカラカラし、
アヌスに近づけると。

「いや~ん! やめてぇ~ん!!」

ペーパーから甲高い女性の声が聞こえた。

トイレット
ペーパー屋
「菊の門が迫ると、
 声を出す特殊な紙だあ。
 おなごの声と野郎の声が選べるだ。
 誰の中にも潜んでいる、
 サディスティックな欲求を
 満たすために開発しただ。
 次はこれだ」
北小岩 「随分かわった形状でございますね。
 むっ、
 むむんむんむんむむむのむん!
 あは~ん」
トイレット
ペーパー屋
「形はもちろん感触まで、
 舌そっくりにつくられてるだ。
 尻の穴を舐められる
 とろ~んとした感じがするだよ」

その後も、肛門に向けて紙飛行機を飛ばすもの、
サイダーのように弾けるものなど、
次から次へどうしようもないブツを
試用する羽目になった。

確かに現今のトイレットペーパーには、
アイデアが足りない気もする。
しかし、奇怪な尻ふきを、
多数の人が望んでいるとも思えないよね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2010-04-11-SUN

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