「暑いのでございましょうか。
寒いのでございましょうか」
今春の不安定な気温に、翻弄され続ける弟子であった。
「暑い日には
両乳首に穴を開けたTシャツを、
寒い日には新聞紙を中につめた
ドテラを着ているのでございますが」
中間ぐらいの服でよいと思うのだが、
弟子に中庸はない。
「そういえば、サンダル等をのぞくと、
履物は寒暖を反映させませんね」
靴を手に取り、裏を仔細に眺めてみる。
「このところ、
フンを踏んでおりません。
踏んだら踏んだで悲しく、
踏まなければ踏まないで寂しい気もいたします」
そんなことはないであろう。
踏まぬにこしたことはない。
「そろそろお買い物にでなければ。
よっちゃんイカを切らしてはなりません」
弟子は底が抜けかけた靴の
かかと部分に顔を近づけると。
「むっ!」
微妙な異変を感じた。
「25年履き続けているのでございますが、
ついぞ気がつきませんでした」
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小林 |
「なんや、
糞でも踏んだ残り香を嗅いどるのか」 |
北小岩 |
「当たらずと言えど
遠からずでございます」 |
小林 |
「靴のかかとが屁でもしとったんかい」 |
北小岩 |
「そうなのでございます」 |
小林 |
「なんと!
青天の霹靂や。
俺の力ではいかんともしがたい。
あの男に聞いてみるしかないな」 |
あの男とは・・・。
「こんにちは。
僕はおケツに詳しい『物尻な人』です」
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北小岩 |
「お待ちしておりました。
実はわたくしの靴が、
おならをこいたようなのですが」 |
物尻な人 |
「ああ、そのことですね。
何の不思議もございません。
靴のおケツから
おならが漏れただけです」 |
北小岩 |
「靴におケツがあるのでございますか」 |
物尻な人 |
「靴だけではありません。
まだ指摘されていないことですが、
あらゆるものには
おケツがあるのです。
特に箪笥や本棚など、
後ろが壁でよく見えないものは、
凄まじいおケツをしてますね」
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北小岩 |
「そうなのでございますか。
今お持ちになっている路線図ですが」 |
物尻な人 |
「これですね。
山の手線にご注目ください。
ただの円に見えますが、
あるでしょう」 |
北小岩 |
「わたくしにはわかりませんが」 |
物尻な人 |
「田町のあたりです」 |
ぷ〜!
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北小岩 |
「うっ!
口を近づけ過ぎて、
おならを肺の奥まで
吸い込んでしまいました」 |
小林 |
「なるほどな。
しかし、
このけったいな写真は何や?」 |
北小岩 |
「裁判所のようですが、
後ろの部分が
おケツめいてる気がいたします」 |
物尻な人 |
「裁判所にだって、
おケツはありますよ。
ただし、
半分見えている感じですかね。
判決(半ケツ)というぐらいですから」 |
小林&
北小岩 |
「・・・」
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あらゆるものにはおケツがある。
多分、それは真実であろう。
とはいえ、安易に指浣腸を試してみることは危険だ。
箪笥やピアノ、鉄塔などは
倒れてくる可能性があるし、
火山は事と次第によっては
噴火する危険を伴うからである。
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