「一日留守にしただけなのに、
百年もたった気がいたします」
久しぶりに友だちのあばら家に一泊し、
凱旋した弟子の北小岩くんであった。
「先生宅は、決して裕福ではございません。
いや、あえて言うならば、
下流の下流、
そのまた下流のへそ下三寸と申し上げても、
決して過言ではないでしょう。
しかし、清貧というのでございましょうか。
分相応のものを食し、
舟盛りなどは決して・・・」
弟子は師の質素ぶりに、思わず涙ぐんだ。
「只今帰りました」
見慣れぬ下駄が並んでいるところをみると、
客人らしい。
「急いでこぶ茶と
よっちゃんイカの用意をせねば」
挨拶をしようと部屋をのぞくと。
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小林 |
「おお、北小岩。
お前もこっちに来て、
刺身のつまでも食わんかい」 |
ちゃぶ台に鎮座していたのは、
分不相応の巨大な舟盛りだった。
鮪を箸で突ついている男はどこか胡散臭く。
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小林 |
「この方は催眠術師をされている、
俺の心の師匠。
世の中のためになることばかりを行っている
偉人や。
世界中の男から、
もっともっと称賛されねばならんやろ」 |
北小岩 |
「先生は自慢のエロ本を売り」 |
小林 |
「心を込めて、
舟盛りをご用意したというわけや」 |
北小岩 |
「あなた様は、
催眠術師をされているとのお話ですが」 |
催眠術師 |
「ああ、君も試してみるか」 |
氏はズボンをまさぐり何かを取り出した。
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北小岩 |
「それは先生が子供の頃に流行った、
アメリカンクラッカーでございますね。
金色に輝いております」 |
催眠術師 |
「玉砕け!」 |
突然大声を出すと、
物凄い勢いでカチカチやりだした。
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催眠術師 |
「お前の玉は、
玉砕け〜〜〜!!!!!」 |
金色の玉が無残に砕け散った。
北小岩くんは股間を押さえ。
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北小岩 |
「わたくしの金が粉々に!」
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術に翻弄されている。
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小林 |
「そうや。
モテていい思いをしている男にかませば、
恐怖でイチモツ周辺が
使い物にならなくなる」 |
催眠術師 |
「お前は赤ちゃん。
黄金をお漏らし!」 |
北小岩 |
「バブーッ。バブーッ」 |
ブリッ!
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小林 |
「粗相をしおったな。
一戦の前だったら、
どんな女でも逃げていくやろ」 |
催眠術師 |
「赤貝怖い!!!!!」 |
ぱっくり開いた怪しい貝を目の前で前後させると。
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北小岩 |
「ひえぇ〜。
襲われる〜〜〜」 |
催眠術師 |
「毛は剣山!!!」 |
女性の陰毛をかたどった剣山で
目を突くふりをすると、
弟子はうずくまって震えだした。
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睡眠術師 |
「こやつをどうしますか」 |
小林 |
「近頃、俺よりいい目を見ているという
もっぱらの噂や。
飲んでる間、
しばらくそうしときまひょか〜」 |
恐るべき催眠術師。
この人の手に掛かれば、
どんな艶男も女性に対して廃人になるだろう。
据え膳も拒食するに違いない。
それが良いことなのか、悪いことなのか、
現段階では判断がとても難しい。
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