KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百九拾四・・・山

「はあ〜っ! うっ、ぐぇふぐぇふ」

「大丈夫でございますか」

深呼吸するだけでむせてしまう虚弱な師を
思いやる弟子。

小林 「近頃マイハートが
 汚れ気味な気がするんや。
 咳に表れとるやろ」
北小岩 「先生の心は一般的に見れば、
 汚濁しきっているように
 見えるかもしれません。
 しかし、わたくしは心の底から
 そうは思っておりません」
小林 「まったく褒められた気がせんし、
 うれしくもないわ。
 ともかく、ハートを清めんといかん。
 それにはええ空気を
 たんと吸い込むのが一番やろ」

澄んだエアを求め、二人は近郊の山を目指した。
先生宅から麓までは40キロあるので、
出立は子の刻とした。

北小岩 「歩けど歩けど着きませんね」
小林 「弱音を吐くんやない。
 自分の腿を
 スレンダー美人の腿だと思って、
 ガバッと前後させるんや」

これほど的確でないアドバイスも、
他にないであろう。
とはいえ、お金がないために電車賃が払えず、
よって常日頃より尋常ではない距離を
歩き倒してきた二人。
夜が明ける頃には、山の手前まで進軍していた。

北小岩 「これから登山と思うと、
 脚に申し訳ございませんね」
小林 「疲れきった美女の脚が
 大開脚しとるところを想像しながら、
 大地をずぼんずぼん
 踏みしめるこっちゃ」

この男の言は無視しよう。
青い山に分け入り。

小林 「どうや、この凛とした空気は」
北小岩 「心がじゃぶんじゃぶん洗われますね。
 むっ、こんなに早い時間なのに、
 前方にアベックが」

しばしご両人の話に耳を傾けてみよう。

アベック男 「俺さあ、実はイボ痔なんだよ」
アベック女 「そうなの?
 実は私もイボ痔なのよ」
アベック男 「気が合うわけだ。
 俺たちって、
 どこか兄弟みたいだもんな」
アベック女 「イボ兄弟ね。
 もし登山中に血が出たら、
 私ナプキン持ってるから
 貸してあげるわ」
アベック男 「血(ち)〜っす!」
小林 「すっかり心が穢れたな。
 抜き去るで!」
北小岩 「はい!」

一気に数百メートル引き離した師弟は、
深い穴を掘ると便をひりだし、
サイテ〜の落とし穴を制作した。

小林 「一日一便やな」
小林&
北小岩
「あはははははは」

あまりにレベルの低い話なので、先に進もう。
何とか中腹までたどり着いた
お馬鹿さんたちだったが。

北小岩くん
の膝&
先生の膝
「ぐへ、ぐへへへへへ」
小林 「あかんなあ。
 さすがに膝が笑ってきたわ」
北小岩 「あそこにおじいさんが。
 あの方のように
 ストックを持っていれば
 もっと楽だったかもしれません。
 おっ、危ない!!」

おじいさんは足を滑らせ、崖から真っ逆さま。
と思った刹那。

おじいさん 「チェスト〜!」

ストックが伸び、
柄が北小岩くんの後ろ股座から
金的をとらえた。

北小岩 「このままでは
 わたしの金玉(こんぎょく)が!」

小林 「我慢せんか!わっせ〜!!」

人の玉であるのをいいことに、
弟子の下半身に火事場の馬鹿力をかけた。

北小岩 「たまや〜!」

季節はずれの花火が股間に上がった。
玉を砕け散らせたのを代償に、
おじいさんは這い上がる事ができた。

おじいさん 「ありがとな。
 この先に知り合いの
 山姥がやっている店がある。
 そこでご馳走するわい」

後をついていくと、
粗末なつくりの掘っ立て店があった。

おじいさん 「あれを出してやってくれ」
山姥 「どうぞ」
小林 「山名物なめこ汁やな」

振舞われた汁をゴクリ。

北小岩 「コクが強すぎる気がいたします。
 それになめこが入っておりません」
おじいさん 「それはなめこ汁じゃなくて、
 おめこ汁じゃよ。
 山姥たちが
 デリケートゾーンを洗った汁を
 発酵させてつくったんじゃ」
小林&北小岩 「うぎょ〜!」

汚れちまった心を洗うために登山した師弟。
途上で、プロブレムな場所を洗ったものを
味わうこととなった。
だからどうなのだと問われれば、
どうでもないと答える以外にないであろう。

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2010-05-23-SUN

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