「アリさんたちが、
急ぎ足でご帰宅でございます」
膝をかかえこんでいる弟子の北小岩くんは、
耳を体長1センチのものたちに近づけた。
「なになに?
もうすぐ嵐になるのでございますか。
ですから、巣に一目散なのですね」
幼少の頃よりアリとの対話を試み続け、
ついにコミュニケーション可能になった。
一団にひときわの巨躯を誇り、
華麗なステップの個を見つけると。
「もしやあなたさまは、
蝶のように舞い蜂のように刺す
モハメッド・アリさんの親族でございますか」
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アリ |
「よくわかったな。
確かに俺は、アリの血筋だよ」 |
満足そうにうなずきながら、母屋に戻る弟子。
アリにさえ、
たやすく欺かれてしまうほど人がよい。
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北小岩 |
「そういえば、
本日は歴史上の人物等の子孫が
一同に会する予定ですが」 |
チンチーン!
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複数の
客人 |
「たのもう」 |
小林 |
「お見えになったな」 |
おまぬけ先生も奥からまぬけ面をさらしにきた。
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北小岩 |
「わたくし、
今日と言う日を待ちわびておりました。
みなさまはどなたの子孫なのですか」 |
小林 |
「聞いて驚くなよ。
もちろんお前は龍馬はんを知っとるよな」 |
北小岩 |
「もちろんでございます。
尊敬して止みません」 |
小林 |
「龍馬はんが中心となって、
画期的な隊をつくったな」 |
北小岩 |
「わかりました!
みなさまは海援隊の方々の
子孫でございますね」 |
客人A |
「いんにゃ、あしらぁの先祖は
海援隊に影響を受けて、
それに似た隊をつくっちゅう」 |
北小岩 |
「と申しますと?」 |
小林 |
「彼らは海援隊ではなく、
『海綿隊(かいめんたい)』の末裔や。
用のない時に充血して、
無意味に肥大しとった隊や」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
「ハロー!」
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小林 |
「異国の者がやって来たわ。
彼は正真正銘ビッグな男の流れやで。
日本の開国に深くかかわった。
ヒントは船や」 |
北小岩 |
「黒船・・・。
ペリーさんの血統でございますか」 |
異人 |
「アタラズトイエドトオカラズネ。
ワタシノグランドファーザーノ、
ソノマタグランドファーザーガ
ライニチシタノハ、
クロチクビフネ(黒乳首船)デシタ」 |
小林 |
「どでかい黒乳首の模型を乗せて、
外国の女性は全員これほど乳首が黒いと
驚愕させて、開国を迫ったんや」 |
北小岩 |
「・・・」
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ブォブォブォブォ〜
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小林 |
「見事な尺八や」 |
北小岩 |
「唐から戻り虚無僧として
活躍された方の子孫・・・。
うげぇ!
なぜ下半身丸出しなのでございますか。
それもブツにコンドーさんが
装着されておりますが」 |
小林 |
「彼はな、虚無僧ではなく、
『ゴム僧』の後裔なんや。
常にゴムをつけていて、
尺八を吹きながら、
おなごからOKがでれば
下の方も別の尺・・・」 |
北小岩 |
「先生・・・。
その先はおっしゃらなくて
結構でございます・・・」
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先生ごときが、
名立たる人々の子孫と
知り合いであるはずがない。
歴史の狭間に消えていった
どうしようもない人々。
その末裔と親交があるだけなのだ。
歴史を動かした人物の影には、
恥部とでもいうべき者たちが
数多存在したということだけは、
心しておきたい。
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