KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百九拾八・・・こぶ

しとしとじと〜。

「雨でございますね。
 この時季、溌剌とされているのは、
 かたつむりさんとあじさいさん」

魂が抜けたような面で
外を眺めていた弟子の北小岩くんは、
突然畳の上を、かたつむりのように這いだした。

「どのようなお気持ちで、
 葉っぱの上を動かれているので
 ございましょうか」

彼の見事なほどのぬめる動作は、
新種の変態にしか見えない。

「晴耕雨読を旨としてきた我らがお家。
 しかし、先生とわたくしの間では、
 晴耕雨鍛が流行っているのでございます」

小林 「なんや?
 性交どくどく?
 お前は学問ではなく、
 いやらしさのみに磨きがかかっとるな」

右脳派か、左脳派か。
そのように脳のタイプを分類することがある。
しかし、先生の場合はどちらでもなく、
単に性脳というべきであろう。

北小岩 「いえ。
 先生とわたくしは、
 晴れた日には田畑を耕し、
 雨の日には体を鍛え上げておりますね、
 と思ったのでございます」
小林 「成果は出てきたんか」
北小岩 「はい」

言うが早いか
とてつもない速度で腕立て伏せを始めた、
と思ったら、そのままこけた。

北小岩 「とはいえ両腕をご覧ください」

力を込めるとぷくっ。

北小岩 「いかがでございますか」
小林 「たこ焼きみたいな力こぶやな」
北小岩 「先生はいかがでございますか」
小林 「お前と俺では
 レベルが5万マイルほども違うわ」
北小岩 「むっ」

弟子の力こぶの半分。
なさけない大きさのたこ焼きが出た。

北小岩 「先生、
 実はわたくしの力こぶですが、
 力を緩めても長い時間
 そのままのことが多いのです」
小林 「何やと!
 実は俺もや」
北小岩 「隣町の『力こぶ学院』の教授に
 診てもらった方がよいですかね」
小林 「うむ」

力こぶが戻らない。
それは一大事。
果たして教授の見立ては。

力こぶ学院
教授
「ほほう。
 お二方とも同様で。
 実はこのところ
 同じ理由で訪れる方が多いのですよ」
北小岩 「わたくしたちは、
 奇病にかかっているので
 ございますか」
力こぶ学院
教授
「いえいえ、
 そうではありません。
 あなた方の腕に出現したものは、
 力こぶではなく、
 金玉なのです」
北小岩&小林 「なんと!」

力こぶ学院
教授
「金玉は秘された場所にあり、
 普段彼らが見る風景と言えば、
 便器ぐらいなものです。
 それではむなしいのでしょう。
 好奇心もあると思います。
 ですから定位置である股間を離れて、
 腕の方まで出張して
 景色を楽しもうとしているのですよ」
小林 「なるほどな。
 金玉の行動も一理あるな」
北小岩 「先生とわたくしのものを比べると、
 だいぶわたくしのものの方が
 大きかった気がいたしました」
小林 「おう。
 近頃お前、俺を見下しとらんか」
北小岩 「めっ、めっそうもございません。
 ところで教授も、
 同じ症状なのでございますか」
力こぶ学院
教授
「僕は玉ではなく」

腕に力を込めると、
20数センチほどのチンポ型の隆起が起こった。

小林&
北小岩
「まいりました!」


教授のちんちんも同様の理由で、
出張するのであろう。
それにしてもでかい。

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2010-06-20-SUN

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