しとしとじと〜。
「雨でございますね。
この時季、溌剌とされているのは、
かたつむりさんとあじさいさん」
魂が抜けたような面で
外を眺めていた弟子の北小岩くんは、
突然畳の上を、かたつむりのように這いだした。
「どのようなお気持ちで、
葉っぱの上を動かれているので
ございましょうか」
彼の見事なほどのぬめる動作は、
新種の変態にしか見えない。
「晴耕雨読を旨としてきた我らがお家。
しかし、先生とわたくしの間では、
晴耕雨鍛が流行っているのでございます」
|
小林 |
「なんや?
性交どくどく?
お前は学問ではなく、
いやらしさのみに磨きがかかっとるな」 |
右脳派か、左脳派か。
そのように脳のタイプを分類することがある。
しかし、先生の場合はどちらでもなく、
単に性脳というべきであろう。
|
北小岩 |
「いえ。
先生とわたくしは、
晴れた日には田畑を耕し、
雨の日には体を鍛え上げておりますね、
と思ったのでございます」 |
小林 |
「成果は出てきたんか」 |
北小岩 |
「はい」 |
言うが早いか
とてつもない速度で腕立て伏せを始めた、
と思ったら、そのままこけた。
|
北小岩 |
「とはいえ両腕をご覧ください」 |
力を込めるとぷくっ。
|
北小岩 |
「いかがでございますか」 |
小林 |
「たこ焼きみたいな力こぶやな」 |
北小岩 |
「先生はいかがでございますか」 |
小林 |
「お前と俺では
レベルが5万マイルほども違うわ」 |
北小岩 |
「むっ」 |
弟子の力こぶの半分。
なさけない大きさのたこ焼きが出た。
|
北小岩 |
「先生、
実はわたくしの力こぶですが、
力を緩めても長い時間
そのままのことが多いのです」 |
小林 |
「何やと!
実は俺もや」 |
北小岩 |
「隣町の『力こぶ学院』の教授に
診てもらった方がよいですかね」 |
小林 |
「うむ」 |
力こぶが戻らない。
それは一大事。
果たして教授の見立ては。
|
力こぶ学院
教授 |
「ほほう。
お二方とも同様で。
実はこのところ
同じ理由で訪れる方が多いのですよ」 |
北小岩 |
「わたくしたちは、
奇病にかかっているので
ございますか」 |
力こぶ学院
教授 |
「いえいえ、
そうではありません。
あなた方の腕に出現したものは、
力こぶではなく、
金玉なのです」 |
北小岩&小林 |
「なんと!」
|
力こぶ学院
教授 |
「金玉は秘された場所にあり、
普段彼らが見る風景と言えば、
便器ぐらいなものです。
それではむなしいのでしょう。
好奇心もあると思います。
ですから定位置である股間を離れて、
腕の方まで出張して
景色を楽しもうとしているのですよ」 |
小林 |
「なるほどな。
金玉の行動も一理あるな」 |
北小岩 |
「先生とわたくしのものを比べると、
だいぶわたくしのものの方が
大きかった気がいたしました」 |
小林 |
「おう。
近頃お前、俺を見下しとらんか」 |
北小岩 |
「めっ、めっそうもございません。
ところで教授も、
同じ症状なのでございますか」 |
力こぶ学院
教授 |
「僕は玉ではなく」 |
腕に力を込めると、
20数センチほどのチンポ型の隆起が起こった。
|
小林&
北小岩 |
「まいりました!」
|
教授のちんちんも同様の理由で、
出張するのであろう。
それにしてもでかい。
|