KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百九拾九・・・水たまり

ぴんぴかりんこ〜

「後ろ向きなお天気が続いておりましたが、
 今日はお空も趣をかえましたね」

前かがみになり、
股の間からお天道様を眺めているのは、
弟子の北小岩くんであった。

「ふえっきゅしょ〜〜〜ん」

彼は陽の光を目にすると、
くしゃみがこみ上げてきてしまう。
しかし、股の間から顔を出して
くしゃみをすることは、
突然変異の変態に見られてしまう恐れがある。

「ふう〜。
 あちらの方に、水たまりさんが見えます」

ボウフラのような動きで近づくと。

「むっ!」

耳元で何かを囁かれた気がした。

「わたくし、精力はございませんが、
 聴力には長けております。
 確かに、水たまりさんが
 悲しそうな声を出しておりました」

一分ほど目をつむり、
全神経を耳に集中させた。

「わかりました」

何がわかったのかまったくわからないが、
とにかくわかったらしい。
家に戻り、台所に急行すると。

「待っていてくださいね。
 今、まいりますからね」

皿洗いに使っているボウルに水を満たすと。

「レッツゴーわたくし!」

誰も聞いていない能天気な掛け声を発し、
先ほどの水たまりのもとへ。

じゃぶりこじゃぶりこ

「これで大丈夫でございますね」

水たまり 「ありがとう」

水たまりの声は、
多分北小岩くんにしか
聞き取れないであろう。

水たまり 「もう少しで干上がるとこでした。
 梅雨の中休みには、
 異常に日差しが
 強くなる時があるので、
 油断できません。
 お礼に私が動きましょう。
 ついて来てください」
北小岩 「なんと!」

水たまりが自力で移動し始めた。
もといた場所には、水はなくなっている。

水たまり 「あのミニスカートのお姉さんがいいね」

ただでさえパンティが見えそうな
女性の足下に移った。

ただでさえ
パンティが
見えそうな
女性
「キャーッ、何これ?」

北小岩くん
の心の声
「水たまりの表面が、
 鏡のような光沢を
 醸し出しております。
 私、パンのティを
 しかと目に焼き付けました。
 あやとりにでも使えそうな、
 ピンクの紐パンを
 はいてらっしゃいました。
 それにしても、このようなことが
 起こりうるのでございますね」
水たまり 「水たまりにはね、
 フツーの水たまりと、
 サービス水たまりというものが
 あるんですよ。
 僕はサービス水たまり。
 やさしい心を持った男性に、
 サービスをするのです。
 おっ、獲物です」

水たまりは、
エロモン(エロフェロモンの略)全開で
歩いている女性の前に全速力で駆けつけると、
急ブレーキをかけた。

びちょちょん

エロモン
全開で
歩いている
女性
「キャッ!水が股に!」

驚きのあまり、
自分でスカートをめくってしまった。

北小岩くん
の心の声
「むむむむむっ!
 ノーパンでございます!!
 この世はまだまだ
 捨てたもんじゃございません!!」


弟子は理性を持ち合わせているので、
どこかの馬鹿先生のように、
いやらしいものに接しても
大声を出さないですませられる。
接して漏らさず。
それにしても水たまりって、
やってくれるもんですね。

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2010-06-27-SUN

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