「郵便でごわす」
せごどんかと思いきや、ススキのように細った、
眉毛の薄い郵便人であった。
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北小岩 |
「ありがとうございます。
どなたからでございましょうか。
先生の大叔父さまからですね。
先生!」 |
小林 |
「なんや。
ウハウハ女体便でも到着したんか」 |
北小岩 |
「そうではございません。
封書が」 |
小林 |
「小さな大叔父からやな。
この薄さ、前バリ入りか」 |
北小岩 |
「いえ。
透かしてみましたが、
野球のチケットが
入っているようでございます」 |
小林 |
「なになに。
大叔父は弱小チーム贔屓で
足しげく球場に通っとるが、
エロ本の品評会と重なり、
行けなくなったと。
相手チームのホームゲームチケットやな。
今から行けば、
プレイボールに間に合う。
ほな、急ぎまひょ」 |
二人は登板するわけでもないのに、
シャドーピッチングしながら球場へ。
外野スタンドの席に陣取ると。
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小林 |
「予想はしとったが、それ以上やな」 |
北小岩 |
「相手チームのファンがほとんどですね」 |
ほとんどどころではない。
先生たちが応援するチームのファンは、
二人を入れて総勢5人しかいなかった。
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ウグイス嬢 |
「ビジター応援席のみなさま、
よくいらっしゃいました。
伝書鳩ちゃんより、
みなさまにメッセージです」 |
小林 |
「敵ながら粋なことを
してくれるやないか」 |
真っ白な鳩が5羽、応援席に一直線。
あまりの愛らしさに全員、空を見上げて
口をポカンと開けた。
その口めがけ。
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北小岩 |
「うぎょ〜〜〜!
平和のシンボルだと思い、
油断しておりました。
鳩がフンというよりも、
たちの悪い糞といった方がよさそうな、
巨大なものをひりだしました!」 |
時すでに遅し。
ブツはノドの奥へ一直線。
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ウグイス嬢 |
「私たちの伝書鳩ちゃんは、
お前らに『糞くらえ!』と
申しております」
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小林 |
「・・・。
今日は厳しい戦いになるで」 |
先生たちは細心の注意を払い、
スキを見せずに応援し続けた。
回を重ねて試合は中盤へ。
グランド整備の時間に、YMCAが流れた。
トンボで土をならしていた青年が、
こちらに向かってくる。
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北小岩 |
「トンボの先に、
本物のおっぱいそっくりの
乳首がついております」 |
青年 |
「蒸し暑い中、ごくろうさまです。
この乳首をおしゃぶりください。
よく冷えたおいしいミルクが
でてくるんですよ」 |
警戒していたはずの5人であったが、
あまりによくできた乳首の誘惑に
負けてしまった。
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北小岩 |
「わたくし、
なんだか興奮してまいりました」 |
それぞれの股間はもっこり。
その時、相手チームのホームラン王が
バットを手に近づき、ノックの要領で
一人ひとりの股間に球を打ち込んだ。
ボールはポールにうなりをあげて直撃。
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ホーム
ラン王 |
「ポールに当たったんだから、
ホームランだな。
5点先取だ。あははは」
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5人はあまりの鈍痛にうずくまったまま。
玉が割れているものもいるだろう。
電光掲示板には、
各々がよだれを流して乳首を吸っている
屈辱的な姿と、
股間に直撃をうけてうずくまる
なさけない姿が交互に大写しされた。
試合終了まで、手をかえ品をかえの
恐るべき攻撃が続くのだろう。
敵地に乗り込み応援するのも、結構大変ですな。
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