カサカサカサ〜〜〜
カサカサカサ〜〜〜
「♪枯葉よ〜ん」
シャンソンとは似つかぬ、ゆる褌のような調べは、
弟子の北小岩くんであった。
箒で落葉をかき集めている。
カサカサカサ〜〜〜
カサカサカサ〜〜〜
「♪おいもよ〜ん」
ご近所さんからいただいたサツマイモに頬ずり。
カサカサカサ〜〜〜
カサカサカサ〜〜〜
「葉っぱさんが、山盛りになりましたね。
この中に入れてと」
プ〜ッ!
「いけません。
オイモを見ていただけで、
条件反射でおならをひってしまいました。
パブロフの犬ならぬ、
『パブロフの屁』でございますね」
ウフフフフ
北小岩くんの体たらくぶりに、
鈴のような笑い声をあげたのは、
ピチピチ看護婦さんであった。
「まさに白衣の天使でございます」
思わず後をついていき。
「相変わらずのメガスケベやな」
人差し指と中指の間から親指を出し、
仁王立ちしているのはご存知尿瓶先生。
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小林 |
「まあ、よこしまな気持ちも
わからんではないな。
お相伴にあずかるとするか」 |
呆けた顔で後を追う。
看護婦さんは、痔持切男(じもちきれお)氏宅の
窓を見ると。
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看護婦さん |
「その後、おしりの調子はいかがですか?」 |
痔持切男 |
「あの時は気持ちいいことしてもらい、
ありがとうございました!
もう大丈夫で〜す」 |
看護婦さん |
「よかったですね」 |
エンジェルスマイルを浮かべ、立ち去った。
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小林 |
「聞き捨てならんな。
おっ、
虫垂痛夢(ちゅうすいいたむ)も
おるやないか」 |
先日まで痔持氏は切れ痔で、
虫垂氏は盲腸で入院していたのだ。
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小林 |
「お前ら入院中に、
何かいい思いしたんやないか」 |
虫垂 |
「やっぱり白衣の天使は格別ですね。
惚れちゃいましたよ。
いや、先生が考えているような
ハレンチなことじゃないですよ。
体をタオルで
やさしく拭いてもらっただけですがね」 |
痔持 |
「私もお尻の穴付近に
愛情をいただきました」 |
「ごきげんいかが〜〜〜?」
そこに通りかかったのが、
黒いナース服&帽子を被った
冷たい目をした美女だった。
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痔持&虫垂 |
「うわ〜〜〜〜〜!」 |
冷たい目をした美女は、
不敵な笑いを浮かべて去っていった。
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痔持 |
「虫垂さんのところにも来たんですか」 |
虫垂 |
「そうです。
盲腸を切った翌日です。
超ミニスカートの黒衣、
たぶん下はノーパンだと思います。
『傷口大丈夫ですか〜?
これからあなたを天国に
連れて行ってあげるわ〜』
とのたまったのです。
素っ裸にされた私は
『千手こちょこちょ』という
手がたくさんついた
マジックハンドのようなもので、
全身をくすぐり倒されたのです。
少し笑っただけでも痛いのに、
強引にそんなことをされて、
悶絶してしまいました。
『ガスは出ましたか〜?
まだ〜?
じゃあ、かわりに私が〜』
という声が聞こえ、
生ケツを鼻に押し付けられ、
かなりどぎつい屁をかまされました」
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痔持 |
「まさに『黒衣の美悪魔』。
私はですね、
『かわいいお尻にチューしましょ〜』
と言われて不覚をとったのです。
手術直後のアナルに
強烈な突きを見舞われました。
ヤツは空手の黒帯で、
焼けた小石に向かって毎日突きを
練習しているらしいのです。
私は断末魔の叫びを・・・。
その後の記憶はありません」
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話を静かに聞いていた先生と弟子は、
凍りついたように動かなくなった。
病院には白衣のエンジェルもいるが、
黒衣のデビルも跋扈している。
高齢化社会を迎えた今、
記憶にとどめておかねばならない重要事であろう。
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