KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百弐拾壱・・・枯葉

ぴゅ〜ぴゅぴゅ〜。

「そろそろ、冬将軍の野郎がお出ましやな」

「そうでございますね」

「冬将軍は、上半身は鎧で固めとるが、
 下半身はフルチンのような気がせんか」

「そうでございますね。
 ブツは極小のような気がいたします」

「名前だけの張子の虎やな」

「わはははははははは」

世が世なら、打ち首であろう。
冬将軍が刀や槍を手にしていないのをいいことに、
あらぬことで貶めているのは、
チンカス先生とイカ臭弟子であった。

北小岩 「野良犬が門の外におります。
 尻尾でこっちこっちと誘っております」
小林 「ここほれワンワンに違いない。
 ついに俺たちにも、
 金運が回ってきたな」

二人が近づくと、
野良犬は微妙に追いつけない速度で走り続けた。

北小岩 「どこまで行くのでしょうか」
小林 「もしかすると、
 大判小判がざっくざくではなく、
 女体が蠢いとる
 全裸竜宮城のようなところかもしれんな」

想像するのは自由とはいえ、
傾聴に値しないことは確かである。

北小岩 「だいぶ体もあたたまってまいりましたね」
小林 「止まったで」

それは隣の隣の隣町にある
旧上水の上にある並木道であった。

北小岩 「何を物語っているのでございましょうか」

カサカサ

小林 「むっ!
 枯葉が自力で動いとる!!」
北小岩 「わたくしもこの目ん玉に
 確かに焼き付けました」
小林 「町の長老から、
 枯葉も寿命が延びて、
 まだビンビンに生きているうちに
 落ちてしまうと聞いたことがある。
 真実やったんやな」
ミニ
スカート
の女性
「きゃ〜!」
北小岩 「風で枯葉が舞い、
 向こうから来たミニスカート女性の
 パンティのデリケートゾーンに
 くっつきました」

小林 「まだまだ甘いな。
 風など吹いとらん。
 枯葉の奴等は、
 鎌首をもたげる性欲を内包しとる。
 己の意思でアソコに吸い付いたんや」
北小岩 「なんと!」
ミニ
スカート
の女性
「ったくドスケベな枯葉ね。
 くらえっ!!」

ブチッ!

ギャ〜!

ボッ!

断末魔の叫びは、枯葉のもの。

小林 「おっ、恐ろしや!
 枯葉の金玉を女が爪でつぶし、
 火を放ったわ」
北小岩 「葉っぱにも金玉が
 あるのでございますか。
 しかし、我が身に置き換えると、
 これほどの恐怖はございません。
 ぶるぶるぶる」


野良犬に導かれて並木を訪ねてみれば、
そこには高齢化社会を迎えつつ、
性欲の枯れていない多くの枯葉。
それが何を暗示しているのかは謎であるし、
どうでもよいといえばそれまでの話であろう。

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2010-11-28-SUN

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