ぴゅ〜ぴゅぴゅ〜。
「そろそろ、冬将軍の野郎がお出ましやな」
「そうでございますね」
「冬将軍は、上半身は鎧で固めとるが、
下半身はフルチンのような気がせんか」
「そうでございますね。
ブツは極小のような気がいたします」
「名前だけの張子の虎やな」
「わはははははははは」
世が世なら、打ち首であろう。
冬将軍が刀や槍を手にしていないのをいいことに、
あらぬことで貶めているのは、
チンカス先生とイカ臭弟子であった。
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北小岩 |
「野良犬が門の外におります。
尻尾でこっちこっちと誘っております」 |
小林 |
「ここほれワンワンに違いない。
ついに俺たちにも、
金運が回ってきたな」 |
二人が近づくと、
野良犬は微妙に追いつけない速度で走り続けた。
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北小岩 |
「どこまで行くのでしょうか」 |
小林 |
「もしかすると、
大判小判がざっくざくではなく、
女体が蠢いとる
全裸竜宮城のようなところかもしれんな」 |
想像するのは自由とはいえ、
傾聴に値しないことは確かである。
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北小岩 |
「だいぶ体もあたたまってまいりましたね」 |
小林 |
「止まったで」 |
それは隣の隣の隣町にある
旧上水の上にある並木道であった。
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北小岩 |
「何を物語っているのでございましょうか」 |
カサカサ
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小林 |
「むっ!
枯葉が自力で動いとる!!」 |
北小岩 |
「わたくしもこの目ん玉に
確かに焼き付けました」 |
小林 |
「町の長老から、
枯葉も寿命が延びて、
まだビンビンに生きているうちに
落ちてしまうと聞いたことがある。
真実やったんやな」 |
ミニ
スカート
の女性 |
「きゃ〜!」 |
北小岩 |
「風で枯葉が舞い、
向こうから来たミニスカート女性の
パンティのデリケートゾーンに
くっつきました」
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小林 |
「まだまだ甘いな。
風など吹いとらん。
枯葉の奴等は、
鎌首をもたげる性欲を内包しとる。
己の意思でアソコに吸い付いたんや」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
ミニ
スカート
の女性 |
「ったくドスケベな枯葉ね。
くらえっ!!」 |
ブチッ!
ギャ〜!
ボッ!
断末魔の叫びは、枯葉のもの。
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小林 |
「おっ、恐ろしや!
枯葉の金玉を女が爪でつぶし、
火を放ったわ」 |
北小岩 |
「葉っぱにも金玉が
あるのでございますか。
しかし、我が身に置き換えると、
これほどの恐怖はございません。
ぶるぶるぶる」
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野良犬に導かれて並木を訪ねてみれば、
そこには高齢化社会を迎えつつ、
性欲の枯れていない多くの枯葉。
それが何を暗示しているのかは謎であるし、
どうでもよいといえばそれまでの話であろう。
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