「ゴシゴシチンチン ゴシゴシチン」
「ゴシゴシチンチン 玉二つ」
近所に轟き渡る声で、
股間に乾布摩擦を加える大馬鹿者がいる。
「どうや、あっ玉ってきたやろ」
会話なのに、
漢字を間違えているのは不要先生であった。
「そろそろ、別の男房具が必要ですね」
同じく会話なのに、
漢字を間違えているのは不用弟子であった。
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北小岩 |
「確かに乾布摩擦は暖をとるのに
有効ではございます。
しかし、
長年使用していた火鉢が割れてしまい、
摩擦だけで冬を越すのは、
かなり厳しいと思われます」 |
小林 |
「お前の言う事も一理あるわな。
摩擦が激しすぎて、近頃、
玉が磨り減ってきている気がするわい」 |
北小岩 |
「実はわたくしも、
以前に比べて玉が
輝きすぎている気がするのです」 |
二人の玉などなくなったって、
何の損失もないのであるが。
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小林 |
「この世には、
火鉢よりも便利な暖房器具が
出回っているかもしれんな。
ほな、
ちょいと見学に行ってみるかいな」 |
師弟は意味もなくズボンのファスナーを
上げたり下ろしたりしながら、
暖房器具屋さんに向かった。
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北小岩 |
「こんにちは。
わたくしたち、
新進気鋭の暖房器具を
ご賞味いたしたく」 |
小林 |
「まあ君たちの実力如何では、
買わんでもない」 |
偉そうにのたまうが、所
持金は20円あるかないかであろう。
そうとは知らずに店主は。
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店主 |
「ようこそいらっしゃいました。
さ、どうぞ奥へ。
こちらなどいかがでしょうか」 |
たて2メートル、
横1メートルほどの箱に開いた穴から、
もわ〜んとした熱気が出ている。
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北小岩 |
「暖かいことは暖かいのですが、
熱気が妙に汗臭い気がいたします」 |
店主 |
「これは労働集約型暖房器具と申します。
価格は非常に安いのですが、
そのかわり人件費がかかります」 |
穴から中をのぞいた先生が声をあげる。
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小林 |
「マッチョな男がブリーフ一枚になり、
その場で全力で走っとる。
走るというか、高速で足踏みしとる」
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店主 |
「熱気でむんむんでしょう。
さらに温度を上げましょう!」 |
安っぽいスイッチをひねると。
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小林 |
「むっ、
野郎がブリーフを脱ぎ、
フルチンで速度を上げた!」 |
北小岩 |
「とはいえ、
ランニングコストが掛かりそうですね」 |
店主 |
「ではこちらは。
透明の頑丈な箱の中に、
あなた方が今まで
目にしたことのないような
卑猥なノーカットエロ本が
入っております。
重要な部分に粘性を高めた大量の砂が
載っています。
それを筒を使って吹き飛ばすのです」 |
北小岩 |
「ふ〜〜〜! ふ〜〜〜!!
なかなか飛ばせません。
ふ〜〜〜! ふ〜〜〜!!
おや?
体がぽかぽかしてまいりました」 |
小林 |
「これは何や?
ニワトリと鳥の巣と白いペンキやないか」 |
店主 |
「さすがにお目が高い!
金玉を白く塗り、
ニワトリが自分の卵と間違えて
温めるようにするのです。
さあ、どうぞ」 |
促されるままに先生は寝そべり、
玉を白く着色された。
店主がニワトリを掴んでその上に載せると。
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ニワトリ |
「クワ〜、カッカッカ。
キイ!」 |
小林 |
「うお〜!」 |
ニワトリは玉があまりに小さいので、
自分の卵ではないと認識し、
攻撃を開始したのだ。
先生の玉はボロボロになり、
違った意味で熱を持ち、結果体が温まった。 |
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確かに、乾布摩擦だけで冬を越すのは
心もとない。
しかし、果たしてこの店の商品が
暖房器具と呼ぶに値するものなのか、
はなはだ疑問である。
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