KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百弐拾四・・・宝くじ

プ・プププププ プ

「むっ!」

プ・ププププププププププププププ
プププププププププププププププププ

「この怪しげな調べ・・・。う〜むっ」

鼻くそぐらいの大きさの脳で、
何事か熟考しているのは、
弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「やっぱり間違いございません!
 わたくしの屁でございます!!」

挙句の結論がそれならば、
果たして考える必要などあったのか。

プ・ププププププププププププププ
プププププププププププププププププ

北小岩 「なるほど。
 12月は師走と申します。
 師も走るほど忙しいと申しますが、
 走るのは師だけではございません。
 ご拝聴のように、
 屁も忙しく走るのでございます。
 本日からわたくしたちは、
 12月を『屁走(へわす)』と
 呼ぼうではございませんか!」
小林 「お前、さっきから
 何ごちゃごちゃ抜かしとるんや」
北小岩 「あっ、先生」
小林 「下が走る?
 お前の下半身は、
 12月に女体を求めて走っとるんか!」

輪をかけて意味のない男が登場してしまった。

北小岩 「めっそうもございません。
 下ではなく、師が走る。
 いえ、屁が走るのでございます」
小林 「まあ、どちらでもええ。
 それより、もうすぐクリスマスやな」
北小岩 「えっ?
 もうすぐクリトリスでございますか?」
小林 「まあ、それもどちらでもええ。
 さっきな、
 サンタクロースを見かけたので
 後をついてみたんやが、
 宝くじ屋の店の奥に入っていったんや」
北小岩 「そうでございますか。
 とても大きな何かが
 当たりそうな気がいたしますが、
 先生の現在の所持金は2円では」
小林 「大声で言うんやない。
 しかし、看板に
 『特殊宝くじ』と書かれていた。
 俺の直感やが、
 タダでええことが
 起こりそうな気がするんや」

タダにすがるしかない二人は、
売り場に駆けつけドアをノックした。

北小岩 「わたくしの師が、
 ここの宝くじはロハじゃないかと
 申しておりますが、
 いかがなものでしょうか」
宝くじ屋 「鋭い方がいらっしゃいますね。
 私どもは、
 宝くじとは本来買うものではなく、
 すでに自分の中に
 当たりがあるかないかというものだと
 認識しております」
北小岩 「へっ?」
宝くじ屋 「陰毛を見せて御覧なさい」

けげんな顔でパンツの脇から出す弟子だったが。

宝くじ屋 「大当たり!
 あなたの陰毛の中に、
 当たり毛がありました!
 当たり毛には、人を魅了する
 不思議な輝きがあるのです」

小林 「でかしだぞ!
 ところで何をもらえるんや」
サンタ
クロース
「エッチな七福神ですね」

後ろからボロボロの宝船状のものに乗った、
いんちき臭い七福神似の小男たちが現れた。

七福神の一人が、異常に素早い動きで
そばを通ったミニスカートの女性の秘所に
タッチすると、先生の後ろに隠れた。

ミニスカート
の女性
「あんた、
 自分が何したかわかっているの!!」
小林 「いや! それは誤解や!!」
ミニスカート
の女性
「ごかいもろっかいもあるか!!
 くらえ! くらえ!
 くらえ! くらえ!」

女性は先生の秘所をつかんでのばすと、
際限なく手刀を打ち込んだ。

小林 「うお〜〜〜!」

先生は踏み潰された虫のように、
のた打ち回った。
エッチな七福神は、エッチなことをして
己の福を楽しむだけの輩だった。

 

タダほど高いものはない。
北小岩くんは、悶絶する先生を介抱しながら、
普遍の定理を胸に刻み込むのであった。

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2010-12-19-SUN

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