「サンタクロースの帽子が落ちております」
地面に横たわる赤帽を、
子犬のような瞳で拾い上げたのは、
弟子の北小岩くんであった。
「くんくん。くんくん」
犬のように匂いを嗅いでしまうのは、
単なるクセである。
「むっ、
内側は明らかに若い野郎の匂いなのに、
外側の一部にうら若き女性の唇の香り。
想像いたしますに、
野郎がクリスマスプレゼントを渡し、
キャッ! と喜んだ女性が
帽子に熱いキスをしたに違いございません。
こんなにシアワセな光景が
他にあるでございましょうか。
それに引きかえ、わたくしは・・・」
嗚咽するのであった。
「なんや!
マンタクロースがどうのこうのと騒ぎ、
涙をこぼす。
はたから見れば、変態や」
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北小岩 |
「あっ、先生。
マンタクではなくて、
サンタクでございます。
何というシアワセなクリスマスを
過ごした男がいるのかと思い、
わたくしの悲しい境遇と比べて、
目から熱いものが
あふれてしまったのでございます」 |
小林 |
「お前の場合はええ思いをしなくて当然や。
しかし、このところ
俺までお前の悪影響を受けてしまい、
とんとウハウハな思いができとらん。
昔は股間が休まることがないぐらい、
モテまくったというのに・・・」 |
そんなことはない。
弟子は今年の聖夜は
さみしい思いをしたかもしれないが、
先生は一生寂しい思いが約束されているのだ。
「やあ、北小岩くん」
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北小岩 |
「あなたは、女性からモテモテの
持山幾夫(もてやまいくお)さんで
ございますね」 |
先生とは違って、
弟子の友だちにはモテる男が多い。
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持山 |
「今から僕の家で誕生会をやるんだ。
来ないかい」 |
北小岩 |
「でも」 |
持山 |
「メスの匂いをぷんぷんさせたエッチなコも、
たくさん来るよ」 |
小林 |
「行こうやないか!」 |
誘われてもいないのに、先生が先陣を切る。
持山くんの家に到着すると、
今にもパンティが見えそうな女たちが。
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パンティの
見えそうな
女A |
「先に上がらせてもらっていたわ」 |
パンティの
見えそうな
女B |
「じゃあ、始めようかな」 |
照明が落とされ、再び点灯されると。
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北小岩 |
「持山さんのイチモツの周りに、
火のついたロウソクが
立てられております!
どういうことでございますか!!」 |
持山 |
「今日は僕のおちんちんの誕生日なんだ。
だから、みんながその部分を
祝ってくれるんだよ」 |
パンティの
見えそうな
女A |
「じゃあ、いこうか!」 |
エロモンぷんぷんの女たちが唇を近づけ、
絶妙なタッチで息を吹きかけた。
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持山 |
「たまりましぇ〜〜〜ん!」
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持山くんは、思わず昇天しそうになっている。
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パンティの
見えそうな
女B |
「ロウソクが消えたら、
これでカンパイしましょ!」 |
北小岩 |
「これというのは何でございましょうか」 |
パンティの
見えそうな
女C |
「ラブジュースにはちみつを混ぜたものよ。
私たちは、ハニーラブって呼んでいるわ」 |
北小岩 |
「おいしいのかどうかはわかりませんが、
うらやましいでございます」 |
小林 |
「えい。こんな糞ガキに
いつまでもええ思いを
させとくわけにはいかん!」 |
バシッ!
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持山 |
「熱い!」 |
ロウソクが倒れ、陰毛に引火した。
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小林 |
「実は俺のちんちんの誕生日も今日なんや」 |
醜い先生は、虚偽の申告をしてまで
気持ちいい目にあおうとした。
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パンティの
見えそうな
女A |
「仕方ないわね。
じゃあ、
フィッシング・バースデイにしましょう」 |
むき出しになった先生のイチモツに、
釣り糸が装着された。
しかし、先端についていたものは。
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小林 |
「ピラニアやないか!!」 |
猛る魚は、先生の極小ウインナーを発見すると、
まるで糸を手繰り寄せるように上ってきた。
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小林 |
「うお〜〜〜!
マイ・トレジャーが!!!」 |
ガブベリッ!
先生のブツを食いちぎったピラニアは、
あまりの不味さにほろ苦い表情を浮かべた。 |
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明日も明後日も、
町のどこかでおちんちんの誕生会が
開かれることだろう。
しかし、いい思いができる男子は、
ほんの一握りであることは、
記憶に留めておかねばなるまい。
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