KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百弐拾七・・・配当

チンリンリン チンリンリン

「もしもし」

「あのう。北小岩さんは、ご在宅ですか」

「はい。
 わたくし、何を隠そう北小岩と申します」

隠すほどのものもない弟子のもとに、
珍しく電話がかかってきた。

「私は、股開証券の陰毛(かげけ)と申します。
 ところで北小岩さんは、
 株式会社おまんたの株を
 持っていらっしゃいますよね」

北小岩 「そうでございますね。
 母がいらないと申しまして、
 贈与されたのでございます」
証券
レディ
「長年に渡って、配当があったんですよ」
北小岩 「はい。
 噂にはうかがっております」
証券
レディ
「本来だと年毎に
 引渡し期限があるのですが、
 特別にためておきました。
 それにしても、
 たまりすぎてしまいましたので、
 そろそろ引き取りに来て
 いただきたいのですが」
北小岩 「いえ。
 処分していただいて結構です」
証券
レディ
「そんなもったいない」
小林 「なんや、北小岩。
 処分がどうのこうのと」
北小岩 「あっ、先生。
 実はですね、
 わたくし母から譲り受けた株を
 少々持っておりまして」
小林 「初耳やな。
 それを処分しようというんかい」
北小岩 「いいえ、そうではございません。
 長年ノータッチにしていたのですが、
 配当が相当たまったらしいのです。
 それをわたくしといたしましては、
 処分しようかと」
小林 「何を血迷っとるんや。
 お前がいらんのなら、俺がもらうわ!」
北小岩 「配当はお金ではありません。
 母は珍妙すぎる配当がいやで、
 わたくしに譲渡したのでございます」
小林 「電話をかわらんかい。
 あ、もしもし。
 今からすぐにもらいにいきまっせ!」

浮かぬ顔の弟子を伴い、証券会社へ。

小林 「たのもう!」
証券
レディ
「お待ちしておりました。
 ではまず、最初の配当ですね。
 パンツを下げて、
 後ろを向いてください」
小林 「ほらな。
 ええ思いがいっぱいやろ」
証券
レディ
「お尻を思いっきり突き出してください」

先生の虎穴の中に、
マジックハンドを使い何かを塗りつけた。

小林 「何やこれは?」
証券
レディ
「配当の『痔』です。
 切れ痔を誘発する
 危険なクリームを塗りました」
小林 「むっ、ちょっと便所に行ってくるわ」

数分後お尻の穴を押さえながら戻った先生は。

小林 「切れ痔になっとった・・・」


もともと肛門が脆弱な師は、
さみしそうに肩を落とす。

証券
レディ
「次の配当はこれです」

意気消沈する先生は、されるがままに、
水のようなものを大量に飲まされた。

小林 「急に小便がしたくなってきた!
 また便所を借りるわ」

トイレに駆け込むと、
いつの間にか100人、男が並んでいた。

証券
レディ
「二つ目の配当は、
 『100人待ち』ですね。
 いざという時に、
 あなたの前には100人、人が並びます」

先生は漏らさないように
ちんちんを強く握りながら、
隣のビルのトイレに急行したが、
そこにも100人男が並んでいた。

小林 「あ〜あ・・・」

いい歳こいて、失禁の屈辱を味わった。
 
その他にも、
ちんちんが数週間目を覚まさなくなる
『ちんちんの眠り薬』、
かけると見ず知らずの女性からでさえ、
突然ひっぱたかれるような猥褻な顔になる
『すけべメガネ』など、
欲しくないものばかりであった。

みなさまも、引き出しの奥の方に、
どこかの株券が眠っているかも知れません。
配当には、くれぐれもお気をつけくださいませ。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2011-01-09-SUN

BACK
戻る