「今こそ己の眼力、
聴力を極限まで研ぎ澄ます時や」
「そうでございますね」
とてつもない心がけのように聞こえる。
だが、実態は。
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北小岩 |
「細部まで見えるようになりました」 |
小林 |
「俺も極小の音まで
聴こえるようになってきたわ」 |
10メートル先にある他家のテレビを、
自分の家から観ようというのである。
いわゆるタダ見である。
なぜそのような事態が生じたのか。
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北小岩 |
「大晦日前日の昼12時から、
元旦の12時まで、
48時間エロビデオをつけ続け、
テレビに負荷が掛かりすぎたのですね」 |
小林 |
「まさか元旦に
テレビから煙が出るとは、
思いもよらなかったな」 |
行くエロ、来るエロを
極限まで楽しもうと企てたのだ。
二人にとっては精一杯の壮大な計画であったが、
途中からテレビも興奮してしまい、
おしゃかになってしまった。
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小林 |
「もはや俺たちが情報を得るためには、
道に落ちている新聞を拾うか、
よそのテレビを盗み見る他ないわな」 |
そんなわけなのだ。
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北小岩 |
「おほっ。
シースルーな
セクシーお天気お姉さんが
出てまいりました」 |
セクシー
お天気
お姉さん |
「今日はセイコウ東低で
ビンビンの気圧配置よん」 |
北小岩 |
「間違いなく、
性交とおっしゃいました」 |
セクシー
お天気
お姉さん |
「だからね、
凄く乾燥してモノが燃えやすいの。
私の彼氏のおっきなモノにも、
火がついちゃうかもしれないわね」 |
北小岩 |
「・・・」 |
小林 |
「今、あのすけべねえちゃんが、
黙示的なことを言ったな」 |
北小岩 |
「そうでございますか。
モノが燃えやすいと
言っただけでございます」 |
小林 |
「実はな、俺の古くからの友人に、
モテるやつのちんちんを、
心の底から憎んどる男がおるんや。
きっと、
不穏な行動を起こすに違いない。
見に行ってみるか」 |
師弟が表に出ると、偶然50メートル先に、
友人を発見した。
ももあげをしながら追跡する。
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小林 |
「どうやら、
いい女を連れた男の後を
つけとるようやな」 |
北小岩 |
「男が公衆トイレに入りました」 |
小林 |
「急げ!」 |
猛ダッシュをかけ、トイレを覗くと。
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小林 |
「やつの不自然に巨大なメガネを
見てみい」 |
北小岩 |
「わたくしの見たところ、
あれはタダのメガネでは
ございませんね」 |
小林 |
「そやろ。
超強力な虫メガネを
搭載しとるに違いない。
ターゲットと程よい距離をとり、
太陽の光を集め」 |
北小岩 |
「むっ、色男のちんちんから
煙が出てまいりました!
こんなにはやく、
火がついてしまう
ものなのでしょうか」 |
小林 |
「あいつのちんちんをよく見てみい。
使い込み過ぎて真っ黒や。
小学校の頃、紙を黒く塗り
虫メガネで光を集めると、
よく燃えたやろ。
黒が災いしたな」 |
色男 |
「あちい〜〜〜!」
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男は彼女のもとへ全力疾走。
女は深くくわえることで真空状態にし、
チン火させようと思ったものの、
あまりに火のまわりが早くあきらめた。
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小林 |
「松明のように燃えとるわ。
今年の乾燥ぶりは、尋常やない」 |
北小岩 |
「気をつけねばなりませんね」
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棒状のモノにとって、
火がつくことは斯様に怖ろしい。
意図的に着火されることもあるだろう。
自然発火もあるだろう。
この季節、細心の注意を払いたい。
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