KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百弐拾九・・・冬の釣り

「今年の冬は寒いですが、今日は特に冷え込みますね」

ギッ

「水道が凍っていて、蛇口を回すことができません」

ギッ

「こういう日にわざわざ外出するのは、
 賢い人のすることではありませんね」

ギッ

小林 「おう、北小岩。でかけるぞ」
北小岩 「先生、どちらへですか」
小林 「川や。
 そこにな、
 冬釣りの達人たちが集結しとるんや」
北小岩 「そうでございますか。
 わたくし、あまり気が・・・」
小林 「お前が来なくちゃ、始まらんわ」

別に北小岩くんが来なくとも、
勝手に始まるであろう。
ともかく師弟は、町の北側を流れる珍川に向かった。

小林 「いたいた。あそこやな」
北小岩 「極寒の中、全裸で川に入っております!」
小林 「ケツのあたりをよ〜く見るんや」
北小岩 「妙に長いケツ毛が
 藻のようになびいております。
 おっと、魚が藻と間違えて、
 入っていきます!」
冬の
釣り人A
「アナルシャッター!」
北小岩 「釣り人がお尻を締めました。
 魚が挟まれております!」
小林 「見事や!
 己のケツを自然と同化させて捕らえた」

北小岩 「もう一人の方は、
 自分のおちんちんを股に挟む、
 通称メスライオンの体勢をとっております」

バシャ!

北小岩 「おちんちんを挟んでいた
 股の力を突然ゆるめ、
 その勢いで魚の頭部を殴打しました。
 魚が気を失って浮かんでおります」
小林 「さすがに名人の称号を
 欲しいままにしてきた
 男たちだけのことはある」
冬の
釣り人B
「俺はイチモツと睾丸を
 自由自在に外すことができるんだ」
北小岩 「ほんとに股間から、
 イチモツと睾丸を切り離しました。
 それをルアーの替わりにして、
 釣りを始めました」
小林 「なるほど!
 本気の男は違う。
 自分の大切なモノをルアーにすることで、
 命懸けの勝負に出る。
 もしも魚に奪われたら、
 取り返しのつかないことになるからな」
冬の
釣り人B
「俺は連戦連・・・。
 しまった〜〜〜!
 ルアーの睾丸の片一方が
 巨大な魚に持っていかれた!」
冬の
釣り人A
「あの魚は、
 幻といわれるイトウの亜種で、
 『伊藤君』だ!」
北小岩 「なんと!
 名人は、伊藤君に
 睾丸をひとつ持っていかれたのですか!」

あまりの寒さに手がかじかみ、
ルアーを引くタイミングが
ほんの少しずれたのだ。
だが、その代償はあまりに大きい。

冬の
釣り人A
「大丈夫だ。
 睾丸はひとつあれば、
 それが頑張って機能を補うことができる」

釣り人Aは、フルチンのまま仲間を慰めるが、
凍てつく川で金玉は梅干の種のように縮み、
ケツ毛は凍って
パンクロッカーのとさかのようになっている。
説得力は、ゼロである。

冬の川に集結した釣り名人たち。
彼らがギリギリのところで
釣り道を究めようとしていることは
認めざるを得ない。
しかし、総じてカッコ悪いことだけは確かであろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2011-01-23-SUN

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