ふわちらふわちら
「雪でございます」
ふわちらぱんちら
「幼き頃の雪の朝、
雪ん子が姿を見せ雪合戦を
挑まれたのでございました。
彼女が投げた雪だんごには
大きな石が入っており、我が金的を直撃。
わたくしはその場で崩れ落ち、
雪に埋まった事もありました。
今では真っ白い思い出でございます」
ぱんちらぱんちら
「おや、こんなところに新聞が。
穏やかそうな二国の国境付近で
交戦でございますか。
何とかならないものでございましょうか。
うっぷくしょん」
天を仰いだ拍子に、
鼻の穴に雪が入ってしまったのは、
弟子の北小岩くんであった。
「どこの国とどこの国が性交したんや!」
聞くに堪えない台詞とともに登場したのは、
粗大汚物の小林先生であった。
|
北小岩 |
「そうではございません。
心優しきイメージのある二国が
交戦したと記事にあり、
わたくし、残念な気持ちで
いっぱいなのでございます」 |
小林 |
「そやな」 |
北小岩 |
「難しい問題なのでございましょうか」 |
小林 |
「俺もな、小学校の頃、
境界問題でやりあったな」 |
北小岩 |
「先生は国を持っているのでございますか」 |
小林 |
「そこまで大げさなもんやない。
俺が低学年だった時には、
机が一人ひとり
セパレートになっとらんで、
二人で使う木の机やったんや」 |
北小岩 |
「ほほう」 |
小林 |
「やさしそうなおなごが隣でな。
しかしや、俺の鉛筆やノート、
ひじなどが真ん中を越えて侵入すると、
般若の形相に変わるんや」 |
北小岩 |
「それほどまでに
嫌われていたのでございますか」 |
小林 |
「そうやない。
領地を侵害されると、
かわいい子でも鬼になるというこっちゃ。
それで机の真ん中に鉛筆で
境界線を引かれた。
だがな、俺は隙をみて一部を消して、
デベソのように向こうに出っ張らして、
そのでっぱりに消しゴムを置いたんや」 |
北小岩 |
「ほほう」
|
小林 |
「すると激怒して消しゴムを投げ、
俺の金的に当てた。
さらにコンパスを投げ、
あろうことか金玉に
突き刺さってしまったんや」 |
北小岩 |
「恐ろしいでございます!」 |
小林 |
「それは一例やな。
境界問題は自分の体でも起きとるで。
例えばちんぽと陰毛には、
大昔から諍いがある。
陰毛はちんぽの先まで侵攻して
生やそうと企てるのだが、
それを為しえていない。
お前、先っぽの方に
陰毛がごわっと生えとるヤツを
見たことないやろ」 |
北小岩 |
「そういえばそうでございます」 |
小林 |
「ちんぽ軍はしたたかに戦って、
陰毛に領土を拡大されるのを防いどる。
様々なものと『チン保条約』を結んで
対抗しとるんや。
陰毛が攻めてくると、
尿と組んでアンモニア攻撃を、
毛を寄せ付けないために
白濁液を放出することもある。
毛のヤツらはベトベトが苦手なんや。
そして、チンポの前方に
毛が生えそうになると、
手と条約を締結し、
上下動による摩擦で毛を蹴散らす」 |
北小岩 |
「なるほど。
陰毛がふもとから先に進軍できない理由が
よくわかりました」
|
あらゆる場所で、境界を巡る戦いが
日々繰り広げられている。
私たちの体も同じこと。
それは、頭の片隅においておいた方が
よさそうな気がするし、そうでない気もいたします。
|