石焼〜イモ、おイモ〜
「おいしそうな声でございますね。
とりあえず、見学に行きましょうか」
所持金が3円しかないため、買うことはできない。
しかし、見るだけはタダとばかりに駆けつけたのは、
弟子の北小岩くんであった。
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北小岩 |
「石の焼ける甘い匂い、
たまりませ〜ん!
みなさ〜ん、
とろけるおイモですよ〜!」 |
「わ〜、おいしそうね!」
北小岩くんの心の叫びが功を奏したのか、
長蛇の列ができた。
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焼いも
屋さん |
「あんたのおかげだよ。
これ、食ってくれ」 |
北小岩 |
「ありがとうございます!」 |
見事にせしめたのであった。
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北小岩 |
「ふ〜、この湯気がなんともいえず。
いっただきま〜す」 |
パクッ
プ〜〜〜〜〜〜〜〜!
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北小岩 |
「早くもおならさんの登場です。
さぞや臭いことで、
んっ?
無臭でございます」 |
おなら |
「くせ〜!
おめえ、臭えよ!!」 |
北小岩 |
「申し訳ございません!
それにしてもこの状況はいったい?」 |
小林 |
「お前、屁に臭がられたやろ」 |
北小岩 |
「あっ、先生。
実はそうなのでございます。
わたくしがおならさんを臭がるのは
わかるのですが、
わたくしがおならさんに
臭がられることになろうとは」 |
小林 |
「そのことか。
いま世の中では、
様々な逆現象が起きとるらしいんや。
さっき俺は小便をしたんやが、
金玉が上にあり棹が下にあった」 |
北小岩 |
「なんと!」
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小林 |
「ニュースでやっとるかもしれんな」 |
北小岩 |
「見てみましょう」 |
テレビをつけると。
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テレビに
うつって
いる人A |
「なんだ、あのスケベそうな
肥溜めみたいな男は」 |
テレビに
うつって
いる人B |
「ちんちんも度外れて
小せぇんだろうな。
たぶんペットボトルの蓋ぐらいの
大きさだろうな」 |
北小岩 |
「本来テレビにうつっている人を見て
こちら側の人がとやかくいうのに、
テレビにうつっている人が
先生のことを見て
とやかくいっております」 |
小林 |
「内容は不本意やが、間違いないな」 |
北小岩 |
「ご覧下さい!
キャッチボールの映像が
流れておりますが、
ボールが人を投げております!」
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小林 |
「次は海や!!
だが・・・」 |
何百万もの人間が向こうから押し寄せ、
そして戻って行く。
その動作を延々と繰り返す。
浜辺にたまった海水が、
波人間たちを眺めているのだ。
日本中の様々なものが逆になる珍現象。
それが何を物語るのかはわからない。
しかし、棹と玉の位置が逆になると、
たんたんたぬきの歌の一節
「♪か〜ぜもないのにぶ〜らぶら」は、
実状にそぐわないものと
なってしまうかもしれない。
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