「またこの季節が来たな」
「そうでございますね」
「よ〜く磨いとかな、あかんな」
「奥の方から光を放つようにいたしましょう」
キュッキュッ
乾布摩擦の要領で、
己の二つの金玉のみを磨いているのは、
この世にとってまったく存在価値のない
先生とその弟子であった。
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小林 |
「年に一度の
ゴールデン・ボールウイークやからな」 |
北小岩 |
「いい思いをする可能性が
大でございますからね」 |
キュッキュッキュッ
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小林 |
「これだけの光沢を持っとったら、
どんなおなごも放っておかんやろ」 |
北小岩 |
「もちろんでございます」 |
キュッキュッキュッキュッキュッキュッ
その時だった。
パンパンパパンパパパパパンパン
パンパンパパンパパパパパンパン
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小林 |
「小気味のいい手拍子やな」 |
北小岩 |
「先生、
それは結構なのでございますが、
磨く手の動きが、
異常に速くなりませんか」 |
パンパンパパンパパパパパンパン
パンパンパパンパパパパパンパン
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小林 |
「そうや!
まずい!!
こんな速さで磨いたら、
摩耗してしまうで!」 |
北小岩 |
「そこで手拍子をされている方、
勘弁してください!」
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パン・・・
二人はすんでのところで、金玉を失うところだった。
「いやぁ、すまなかったね」
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北小岩 |
「あなた様は?」 |
「僕は手拍子の達人、
手尺八育夫(てじゃくはちいくお)と申します。
僕が手拍子をすると、
いろんなものの速度が上がるんだよ。
例えばね」
視線の先には、
ズボンのファスナーを上げ下げしている青年がいた。
パンパンパパンパパパパパンパン
パンパンパパンパパパパパンパン
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青年 |
「あれ?
うわっ。いて〜〜〜〜!!」 |
ファスナーの上げ下げが尋常ではない速さとなり、
しまいにイチモツを挟んでしまったのだ。
「他にもね」
バナナを頬張りつつあるお嬢さんを見つけ。
パンパンパパンパパパパパンパン
パンパンパパンパパパパパンパン
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お嬢さん |
「あらいや!
止まらないわ。
恥ずかしい!!」
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バナナをくわえたまま
高速度で顔を上下動させることとなった。
手拍子の達人・・・。
敵に回すとこれほど恐ろしい男もいないかもしれない。
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