ぶら〜ん
「油断をしていると、夏になってしまいますね」
ぶら〜んぶら〜ん
「二つの愛しき玉よ、
今年の夏も、あなた方のお働きに
報いることはできそうにございません」
赤ふんどしの隙間から、
こんにちわをしている二個玉にむかって
頭を垂れているのは、弟子の北小岩くんであった。
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北小岩 |
「あなた方がのんびり揺れるさまは、
まるでゆりかごのようでございます。
わたくし、睡魔に。
ふわ〜」 |
縁側で玉を出したまま、熟睡してしまった。
ブ〜ン、チュ〜ン
ブ〜ン、チュ〜ン
メスの蚊が大挙襲来し、順番待ちをしながら、
弟子の玉の血を吸っていく。
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小林 |
「お前、玉が発情したように
赤く腫れきっとるで」 |
北小岩 |
「あっ、先生。
しまった!
玉をしまい忘れてしまいました。
わたくしの水晶のようなモノが、赤玉に」
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寝ぼけているせいか、
訳のわからないことを口走る。
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小林 |
「そんな無価値なものはどうでもええ。
それより、夜食用のよっちゃんイカは
用意してあるんやろな」 |
北小岩 |
「はっ、
自分のブツが極度にイカ臭かったので、
ストックがあるものと
勘違いしておりましたが、
もう底をついております。
申し訳ございません」 |
弟子は先生からなけなしの30円をもらい、
24時間営業の「イカコック商店」に向かった。
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北小岩 |
「街灯がきらめく時間に
なっていたのでございますね。
むっ、暗がりで若い男女が
乳繰り合っております。
むむっ、それを見た街灯の柱が
太く長くなりました」 |
ピカッ!
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乳繰り
合ってる男 |
「うわ〜! あちい〜〜〜!!」 |
フラッシュのような光は稲妻ではなく
街灯の攻撃であった。
不埒な男の股間からは、煙が出ている。
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北小岩 |
「見事でございます。
一瞬にして、
エロ野郎を撃退したのでございますね」 |
その時、横断歩道を渡り
スレンダーな薄着女性がこちらに向かってきた。
モワモワ〜〜〜
辺りに鈍くどよ〜んとした光が立ち込めた。
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スレンダー
な薄着女性 |
「うわ、耐えられないわ、この暑さ。
全部、脱いじゃいましょ」 |
北小岩 |
「うおほほ〜〜〜」
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街灯の柱が先ほどより数倍猛々しくなり、
反り返りながらぴくぴく動いている。
日々、さりげなく辺りを照らし続けている街灯。
しかし、ひとたびスケベなことに接すると、
様々な変化を起こしていることに注目したい。
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