KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百伍拾参・・・入れ替え

うわっはっはっは

突然の高笑い。
しかし、誰かの口から発せられたものではない。

うわっはっはっは

確かに聞こえる。
超常現象かと言えば、そうではない。

では、その正体は・・・

北小岩 「往復40キロ歩いてしまいました」

うわっはっはっは

北小岩 「膝が高らかに笑うのも、
 いたしかたないことでございましょう」

声の出どころは、不肖の弟子の膝であった。

では、なぜそれほどの距離を
歩き続けたのであろうか。

北小岩 「よっちゃんイカが、
 こちらで買うよりも
 2円も安いと聞きました。
 大金でございますから、
 歩くのぐらいお安い御用でございましょう」

2円のために、
40キロを歩き抜いたのであった。

北小岩 「ただ今戻りました。
 よっちゃんイカが2円も安いという情報は、
 確かなものでございました。
 お店の名前はイカ臭商店で、
 むっ」

小林先生はちゃぶ台に、
大胆なグラビア写真を広げているのだ。

北小岩 「何をされているのですか。
 もしや、
 一人でなさるおいやらしいことを」
小林 「アホ抜かせ。
 お前と一緒にするな!
 実はな、
 水着を作っているデザイナーから、
 デザインを依頼されてな」
北小岩 「ほんとでございますか!
 先生がデザインなさった水着が、
 夏のビーチにあふれている景色を想像すると、
 わたくし、これほど鼻の下が伸びる、
 いえ、鼻が高いことはございません」
小林 「そやろ」
北小岩 「それで珠玉の生デザインは
 どのようなものでございましょうか」

先生は画板を装着すると、
ビキニ姿の女性を描いた。

北小岩 「こっ、これは!」
小林 「どや!
 覆うところと覆わないところを
 入れ替えてみたんや」

要するに、本来隠れている部分が露出し、
それ以外は顔も含め、水着で隠されているのだ。

小林 「男用もあるで」

女性用と胸の部分が違うだけである。

小林 「顔も覆われているから、
 男も女も見ることができない。
 しかし、
 その部分は直接自然と触れあっとる」
北小岩 「その部分にとっては、
 かなりの解放感がありそうですね」

先生は画用紙をかえると、もう一枚描き始めた。

北小岩 「そっ、それは?」
小林 「ストリップ小屋をやっている知人から
 頼まれてな。
 新しいストリップのあり方を
 模索してくれと」

舞台の上に着衣の女性が椅子に座って見ていて、
舞台下の男たちが裸体なのである。

北小岩 「たっ、確かに
 新しい気もいたしますが・・・」

所詮、先生の浅知恵などこんなもの。
採用するほどのものではありませんね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2011-07-10-SUN

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