パタパタ
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北小岩 |
「ふ〜」 |
パタパタパタ
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小林 |
「ふ〜ふ〜」 |
北小岩 |
「先生、
わたくしたちの行ないは、
とてつもなく効率が悪いのでは
ありませんか」 |
小林 |
「そうかもしれんな」 |
効率が悪いことにかけては
唯一無二の師弟であるが、
果たして今回は、
どのように効率が悪いのであろうか。
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小林 |
「やっぱりほのかに臭う気がするな」 |
北小岩 |
「そうでございますね」 |
小林 |
「闘牛に出会ったら、
かなり危険な目にあうな」 |
北小岩 |
「そうでございますね」 |
二人は赤ふんどしの前の部分を伸ばし、
お互いに扇ぎあっていたのだ。
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小林 |
「扇ぐ前より、体が熱くなったな」
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北小岩 |
「他の方法でも、電気を使わずに、
涼をとれる気がいたします」 |
小林 |
「隣町に電気なしで
暮らしている男がおったな」 |
北小岩 |
「いろいろ参考になるかもしれません」 |
二人はできるだけ日陰を選んで歩き、
男の家に向かった。
しかし、日陰には犬の糞が潜んでいることも多く、
二人で計三度踏み抜くという失態を犯した。
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北小岩 |
「ともかく着いたようです」 |
トントン
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北小岩 |
「こんにちは。
こちらに、無電気&自給自足で
暮らしている方がいらっしゃると
うかがったのですが」 |
「ああ、その男なら、俺だよ」
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北小岩 |
「そうでございましたか。
自給自足は、大変ではございませんか」 |
その男 |
「ただ漠然とやろうと思っても無理さ。
体のひとつひとつに
協力してもらわないとね」 |
北小岩 |
「どういうことでございましょうか」 |
その男 |
「例えばちんちんさ。
俺のちんちんは自給自足をしているよ。
そばを虫が通るとするだろ。
そうすると、自分で勝手に伸びて、
虫を食ってるよ。
それからさ、陰毛があるだろ。
中には毛穴だけで
生えていないところがあるから、
そこにミニ野菜の種をまくんだよ。
汗や尿で水分を補給して、
10毛作ぐらいの畑にしているよ。
金玉は自分で光ることができるから、
明かり要らないしね」 |
北小岩 |
「なんと!」
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その男 |
「ケツの穴もそうだよ。
ケツの穴はちんちんより容量が大きいから、
通りすがりの子ネズミぐらいだったら、
簡単にとらえることができるよ。
ともかく自給自足しようと思ったら、
体の各部分が独立採算で、
それぞれ自給自足をすること。
その結果が、
自分全体の自給自足につながるんだ」 |
いつのまにか涼の話はどこかに行ってしまったが、
こと自給自足に関しては、
その男の言い分は間違っていない気もするから
不思議だ。
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