ギラン ギラン
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北小岩 |
「夕方とはいえ、
太陽さんもがんばっておりますね」 |
ヒュー ヒュー
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北小岩 |
「むっ、突然風が」 |
ビュワーン ビュワーン
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北小岩 |
「うわっ、大量の黒雲でございます!」 |
ドクン ドクン
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北小岩 |
「空一面、暗黒になってしまいました。
例えて言うならば、
先生のお心のようとでも
申しましょうか」 |
小林 |
「何をぶつぶつ言っとるんや。
それより、どえらい雲模様やな。
まさにお前の心のようや」 |
目くそ鼻くそを笑うとでも言ったところか。
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小林 |
「黒雲の後は、確実に来るな」 |
北小岩 |
「そうでございますね」 |
小林 |
「今年初の肝試し、やらんとな」 |
二人は大地に寝そべり、なぜかパンツを下げ、
イチモツを指で支え天に向けた。
ピカゴロ〜〜〜!!!!!!
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北小岩 |
「恐るべき迫力でございます!」 |
小林 |
「ここでひるんでは、男やないで!!」 |
ちんちんを超極小な避雷針とし、
雷が落ちるかもしれない状況をつくる。
それが二人の肝試しであるが、
馬鹿げているとしかいいようがない。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロビビ〜〜〜ン!!
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小林 |
「こっ、今回はここまでにしとこ」 |
北小岩 |
「そうでございますね」
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弱いチンと弱い肝しか持ち合わせていない
師弟の限界だろう。
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小林 |
「そういえば、
今日は夜店が出とるはずや。
言ってみよか」 |
ソースせんべい一枚買うお金のない師弟であったが、
見たり匂いを嗅いだりするのは
タダとばかりに繰り出した。
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北小岩 |
「まず、イカを焼く匂いを
堪能いたしましょう。
おや?
先生、あそこで
オークションをやっております!
ご覧ください!」 |
小林 |
「なんと〜〜〜!」 |
先生が素っ頓狂な声をあげたのも、
むべなるかな。
そこには、『小林秀雄先生のちんちん』と書かれた
紙の上に、ペットボトルのふたぐらいの大きさの
ちんちん状のものが置かれていたのだ。
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オーク
ション
の人 |
「さあ、
世にもまれな極小ちんちん。
一円から言ってみよう。
どうだ」 |
カップル
の女 |
「ねえ、あんな小さな人、
ほんとにいるのかしら?
いたとしても、何の役にもたたないから
−2万円ぐらいかな」 |
カップル
の男 |
「−100万ぐらいだろ。
こっちが金もらってもいらねえよ」 |
小林 |
「君たち、何か勘違いしておるね。
これほどのブツが
そんじょそこらにあるかいな。
俺はあらゆるものを鑑定してきたプロや。
この名器、1万2千でどや!」 |
オーク
ション
の人 |
「売った!」
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意地をはって競り落としてしまった先生。
1万2千円と言えば、
その額自体は大きく感じないかも知れない。
しかし、おそらく師弟の一年分の生活費に
該当するであろう。
その後、先生がどのように落とし前をつけたのかは
わからないし、わかりたくもない。
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