ギリリリリリリ ギリリリリリリリ
「コオロギさんの声でございますね」
ギリリリリリリ ヤリリリリタイ
「むっ、変でございます」
ヤリリリリリリ ヤリタイタイタイタイ
「やはりそうでございましたね」
ヤリタイタイタイタイ ヤリタイタイタイタイ
「いけません。わたくしだって、
お楽しみの機会はそれほどないのです。
なのにあなたときたら、
いやらしすぎます!」
交尾を企てている雄コオロギにむかって、
わけのわからぬ説教を垂れているのは、
弟子の北小岩くんであった。
「お前、いつから
コオロギの出歯亀をするようになったんや」
「あっ、先生。
出歯亀ではございません。
コオロギさんが美しい音色でわたくしの耳を
楽しませてくださったものですから、
お礼を申し上げようと近づいたところ、
ウハウハな顔をしながら、
雌のケツを追いかけていたのでございます」
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小林 |
「それを凝視しておるお前の方が、
よっぽど飢えとるな。
それより、
家に備蓄してあるよっちゃんイカが、
底をついてしまったな」 |
北小岩 |
「それは一大事でございます」 |
小林 |
「そろそろお前も、
まともに働かなければならんかもな」 |
北小岩 |
「そうでございますね」 |
素直な弟子はそう答えたが、
本来もっと働かなければならないのは、
先生であろう。
いくらお金を使わないからといって、
エロ本の鑑定だけで
ここまで生き延びてこられたのは、奇跡である。
ビュッ! ドン!!
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荷物を
配達して
いる人 |
「ごめんなさい」 |
北小岩 |
「あいたたた。
はっ、そうでございます。
あの、もしよろしければ、
あなた様のお手伝いをさせていただき、
幾ばくか頂戴できれば」 |
荷物を
配達して
いる人 |
「この仕事を舐めたらいけませんよ」 |
北小岩 |
「そうでございますか。
例えばどういうことで
ございましょうか」 |
荷物を
配達して
いる人 |
「呼び鈴を鳴らすでしょ、
そうすると女の人が
上半身裸で
出てくることがあるんですよ」 |
小林 |
「ええ話やないか」 |
荷物を
配達して
いる人 |
「僕も一瞬そう思ったのです。
しかし、乳首がやけに
とがっていることに気づいたのです。
実は乳首に毒矢がセットされていて、
それをどういう仕組みなのか
いまだに理解できないのですが、
吹き矢のように放ってきたのです」
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北小岩 |
「大丈夫でございましたか」 |
荷物を
配達して
いる人 |
「ほら」 |
服をまくり上げると、
腕の部分が若干溶けたようになっていた。
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北小岩 |
「うわ。
恐ろしいでございます」 |
荷物を
配達して
いる人 |
「ここもですよ」 |
腹に鋭利なもので
えぐられたような傷がついている。
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荷物を
配達して
いる人 |
「ドアを開けたとたん、
牙のようなものが出てきて、
思いっきり突かれたんですよ」 |
北小岩 |
「どういうことでしょう」 |
荷物を
配達して
いる人 |
「男の人が、
先のとがったペニスケースを
つけていたんですね」 |
小林&
北小岩 |
「・・・」
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よっちゃんイカが枯渇したため、
バイトをしようと考えた二人だったが、
この話に恐れをなした。
二人はしばらくイカのない生活を続けたが、
自身のイカ臭さは抜けることはなかった。
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