KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百六拾参・・・配達

ギリリリリリリ ギリリリリリリリ

「コオロギさんの声でございますね」

ギリリリリリリ ヤリリリリタイ

「むっ、変でございます」

ヤリリリリリリ ヤリタイタイタイタイ

「やはりそうでございましたね」

ヤリタイタイタイタイ ヤリタイタイタイタイ

「いけません。わたくしだって、
 お楽しみの機会はそれほどないのです。
 なのにあなたときたら、
 いやらしすぎます!」

交尾を企てている雄コオロギにむかって、
わけのわからぬ説教を垂れているのは、
弟子の北小岩くんであった。

「お前、いつから
 コオロギの出歯亀をするようになったんや」

「あっ、先生。
 出歯亀ではございません。
 コオロギさんが美しい音色でわたくしの耳を
 楽しませてくださったものですから、
 お礼を申し上げようと近づいたところ、
 ウハウハな顔をしながら、
 雌のケツを追いかけていたのでございます」

小林 「それを凝視しておるお前の方が、
 よっぽど飢えとるな。
 それより、
 家に備蓄してあるよっちゃんイカが、
 底をついてしまったな」
北小岩 「それは一大事でございます」
小林 「そろそろお前も、
 まともに働かなければならんかもな」
北小岩 「そうでございますね」

素直な弟子はそう答えたが、
本来もっと働かなければならないのは、
先生であろう。
いくらお金を使わないからといって、
エロ本の鑑定だけで
ここまで生き延びてこられたのは、奇跡である。

ビュッ! ドン!!

荷物を
配達して
いる人
「ごめんなさい」
北小岩 「あいたたた。
 はっ、そうでございます。
 あの、もしよろしければ、
 あなた様のお手伝いをさせていただき、
 幾ばくか頂戴できれば」
荷物を
配達して
いる人
「この仕事を舐めたらいけませんよ」
北小岩 「そうでございますか。
 例えばどういうことで
 ございましょうか」
荷物を
配達して
いる人
「呼び鈴を鳴らすでしょ、
 そうすると女の人が
 上半身裸で
 出てくることがあるんですよ」
小林 「ええ話やないか」
荷物を
配達して
いる人
「僕も一瞬そう思ったのです。
 しかし、乳首がやけに
 とがっていることに気づいたのです。
 実は乳首に毒矢がセットされていて、
 それをどういう仕組みなのか
 いまだに理解できないのですが、
 吹き矢のように放ってきたのです」

北小岩 「大丈夫でございましたか」
荷物を
配達して
いる人
「ほら」

服をまくり上げると、
腕の部分が若干溶けたようになっていた。

北小岩 「うわ。
 恐ろしいでございます」
荷物を
配達して
いる人
「ここもですよ」

腹に鋭利なもので
えぐられたような傷がついている。

荷物を
配達して
いる人
「ドアを開けたとたん、
 牙のようなものが出てきて、
 思いっきり突かれたんですよ」
北小岩 「どういうことでしょう」
荷物を
配達して
いる人
「男の人が、
 先のとがったペニスケースを
 つけていたんですね」
小林&
北小岩
「・・・」

よっちゃんイカが枯渇したため、
バイトをしようと考えた二人だったが、
この話に恐れをなした。
二人はしばらくイカのない生活を続けたが、
自身のイカ臭さは抜けることはなかった。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2011-09-18-SUN

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