「はっけよい のこったのこった」
「そこです! いくでございます!!」
コロリン
「ああ、転がされてしまいました」
「はっけよい のこったのこった」
「そこです! 今度こそ、いくでございます!!」
ドーン
「ああ、突き落とされてしまいました」
隣の家のテレビを、
自分の部屋(一畳半)から観戦し、
ため息をついているのは弟子の北小岩くんであった。
|
北小岩 |
「わたくしが子供の頃は、
強い日本人同士の取り組みに
胸が躍ったものでございます。
しかし、
近頃は強い外国人力士に
負けっぱなしでございます。
どうしたことでございましょうか」 |
小林 |
「お前今、
黒いブラジャーがどうのこうのと
言っていたか?」 |
北小岩 |
「あっ、先生。
めっそうもございません。
今の時代、日本人が相撲に弱くなるのも
仕方のないことかもしれません。
それにしても、
少しさみしすぎる気がいたします」 |
小林 |
「例えばお前、
外人とイチモツで相撲を取ったら、
勝てるんか」 |
北小岩 |
「いえ、簡単に押し出されるか、
はたき込まれる気がいたします」 |
小林 |
「そやろ。
俺ぐらいのご立派なブツを持っているもので、
やっと互角の勝負やろ」 |
そんなことはない。
先生の粗品など、
外国人の乳幼児のちんちんと対戦しても、
簡単にうっちゃられるであろう。
|
北小岩 |
「昔に比べると、
何が足りないのでございましょうか」 |
小林 |
「そやな。
だいたいの目星はついとる。
行ってみよか」 |
どこに行くのかと思いきや、
向かった先はかなり変わった家であった。
|
北小岩 |
「先生、このお宅の屋根には、
まげのようなものがついておりますが」
|
小林 |
「まげのようなものではなく、まげやな。
話を聞いてみよ」 |
北小岩 |
「こんにちは。
わたくし、
日本人が相撲に勝てない理由を
知りたいのですが」 |
まげの
ある家に
住んで
いる人 |
「そのことですか。
私はまげの研究に
一生を捧げているのですが、
日本にはまげが少なくなっています。
そのことが大きな原因と私は見ています」 |
北小岩 |
「何とかする方法はございますか」 |
まげの
ある家に
住んで
いる人 |
「これをご覧ください。
これから私が実行に移していく、
日本まげ計画です」 |
北小岩 |
「むっ、
ガスタンクにまげがついております」 |
小林 |
「それだけやないで。
天狗の鼻にも、和式便器の金隠しにも」 |
まげの
ある家に
住んで
いる人 |
「もちろん、男はおちんちん、
女は乳房の上部につけるようにします。
これは氷山の一角ですが、
日本中をまげで埋め尽くせば、
数年後には再び強い日本人力士が
誕生することでしょう」
|
まげのある家に住んでいる人のいうことは、
どこまでが真実なのであろうか。
しかし、日本からまげが消えてから、
気骨を失いがちになっているという気は、
しないでもないですね。
|