ポンポンポンポポンポポン!
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北小岩 |
「いきなり冷え込んでまいりましたね」 |
ポンポンポンポポンポポン!
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北小岩 |
「わたくしも先生も、
寒さには極端に弱いのでございます」 |
それはともかく、
ポンポンポンポポンポポン!
という音は何だろう。
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北小岩 |
「先生はさすがでございますね。
寒い日には股間を鼓のように叩け!
と日頃から申しておりますが、
これほど身体がぽかぽかしてくる方法が、
他にあるでしょうか」 |
ポンポンポンポポンポポン! ぐにゅ!!
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北小岩 |
「うげ〜〜〜!」 |
どたっ!
力を入れて金を叩いてしまったようであるが、
それをかわいそうなどと思う必要はない。
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北小岩 |
「まだまだわたくしの修行が
足りないのでございますね。
小林先生ほどの達人であれば、
このような失敗は決して・・・」 |
「うげ〜〜〜!」
どたっ!
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北小岩 |
「あの声は、先生ではないでしょうか」 |
小林 |
「おっ、北小岩。
何しとるんや。
どうやらお前も、
俺と同じ理由で
地べたを這っとるようやな」 |
それにしても、これほどくだらない師弟が
他にいるのであろうか。
「宅急便です。判子をいただけますか」
「はい。ちょっと待ってね」
ブシュ
「ありがとうございます」
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小林 |
「おい北小岩、
あの家の女が押した判子を見たか」 |
北小岩 |
「はい。紙に印として、
彼女の秘所と同じ形のものが
押されていたようですね」 |
小林 |
「印鑑に異変が起きとるのかもしれん。
さぐってみるか」 |
印鑑屋さんに乗り込んだ二人が目にした光景は。
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男の客 |
「黒光りしたいいものつくってくれたね。
ありがとう。
じゃあこれ、いただいていくね」 |
印鑑屋 |
「まいどあり」 |
北小岩 |
「先生、今の方の印鑑、
押すとリアルなイチモツの形になりますね」
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小林 |
「そやな。
確かにブツは、
ひとりひとり長さも形状も違うわけやから、
十分印鑑として成立するわな」 |
女の客 |
「お見事ね。
これからは認め印が楽しみだわ」 |
印鑑屋 |
「まいどあり」 |
北小岩 |
「先生、今の方の印鑑は、
形状ということではないようでしたが」 |
小林 |
「そういうことに対する俺の勘は、
常人の一万倍ぐらい鋭いんやが、
たぶん印鑑を押す部分に、
匂いをつけるタイプやろな。
それも秘所の。
形状がひとりひとり違うように、
匂いもひとりひとり違うわけやから、
十分印鑑として成立するわな」 |
北小岩 |
「なるほど。
匂いを印鑑に。
これから大いにありですね」
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二人が入った印鑑屋の看板をよく見てみると、
『陰鑑屋』と書かれていた。
陰鑑屋は、時代のほんの少し先を
行っているような気がしないでもないが、
それは気のせいであろう。
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