KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百七拾・・・ノック

パタパタパタ

ドドドドド

チーンチーンチーン

「いてて」

掃除中でありながら
意味もなく身体を反らせていたために、
先生の書棚から落ちてきた大量の本を、
金玉で受け止めてしまったのは
弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「しまったでございます。
 この書棚は先生が
 長年コレクションしたエロ本が、
 ピサの斜塔のようになっているのでした」

想像していた通り、大量の本というのは、
えげつないエロ本群だった。

北小岩 「それにしても、
 よくここまでいやらしいものを。
 世が世なら、所持しているだけで
 打ち首となっていることでしょう」

コトコト

書棚にエロ本を戻す弟子であったが。

北小岩 「あいたたた。
 小林先生の事を考えておりましたら、
 なぜか大便をしたくなってまいりました」

大便に限りなく近い男。
それが小林先生なのかもしれない。

バタン

北小岩 「ふう」

トントン

誰かが戸を叩く音がする。

トントン

北小岩くんが返す。

トントン

トントン

トントン

トントン

小林 「何やお前、
 返し方があまりに普通やないか」
北小岩 「先生。と申しますと」
小林 「今、便所に入っている時のノック返しは、
 どんどん進化しとるで」
北小岩 「そうなのでございますか。
 わたくしが出ましたら、
 ぜひご教示ください!」

ぶりりん

北小岩 「はい、出ました」
小林 「便の素早さだけは、見事やな。
 それはそうと、お前、
 俺がトントンとノックしたら、
 そのままトントンとやったやろ。
 しかし、俺がこの間入った便所では、
 もっと進んどったで」
北小岩 「と申しますと」
小林 「俺がトントンとやる。
 そしたら
 『シュッシュッシュッシュッシュッシュッ』
 という音が返って来たんや」
北小岩 「それは何でしょうか?」
小林 「鰹節を削る音やな。
 普通に返してもドアの前で待たれて、
 プレッシャーがかかるやろ。
 しかし、中で削る音がすれば
 たいていの人間はその場を去るわな」
北小岩 「なるほど」

小林 「後日そこに行き、
 再びノックすると
 今度は扇風機の音がしてな」
北小岩 「はい?」
小林 「ものすげ〜〜〜くせえ臭いが、
 下の隙間から鼻を直撃したんや。
 音で返さず、
 すげ〜〜〜くせえ臭いで、
 入っていることを知らしめたんやな」
北小岩 「・・・」

今、トイレに異変が起きている。
みなさまも外出時、便意を催した際は
心してノックしてください。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2011-11-06-SUN

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