「短いでございます」
散歩中にいきなり
わけのわからないことを口走っているのは、
弟子の北小岩くんであった。
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北小岩 |
「短いと言っても、
先生の股間にぶら下がっている
ブツのことではございません!」 |
まるで選挙演説でもしているかのように、
語調が強くなる。
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北小岩 |
「もしかすると、
わたくしが短いと思ったものは、
先生のブツよりは長いのかもしれません!!」 |
もっとましな独り言がいくらでもあると思うのだが。
「こら!」
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北小岩 |
「むっ、この声は。
小林秀雄先生・・・」 |
小林 |
「お前、勝手に人の大切な所を話題にして、
何かと比べとったな」 |
北小岩 |
「めっそうもございません。
ただわたくしは、
秋というものはほんとうに短くて、
あっという間に冬になってしまうと、
そうように思ったわけでございます」 |
小林 |
「それと俺がどう関係するんや」 |
北小岩 |
「ですから、秋が短いと言っても
先生のイチモツよりは長いと・・・。
はっ、申し訳ございません!」 |
小林 |
「秋の夜長という言葉もあるやろ!俺
のはそれぐらい長いわ!!」 |
弟子が弟子なら師も師。
まったく会話に意味がない。
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北小岩 |
「それはそうと、
わたくし、近頃先生を見ると
便意を催してしまうのでございます。
あそこにちょうど
公衆トイレがございますので、
行ってまいります」 |
小林 |
「昔から頭のゆるい奴やったが、
近頃加速度を増しとるな。
それはそうと、
俺も何だか便意を催してきたわ。
仕方ない。弟子の隣の小部屋で用を足すか」 |
バタン
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小林 |
「そういえばお前、
やたらと便だけは高速やったな。
もう済んだんか」 |
北小岩 |
「はい。
そろそろ去ろうかと思います。
あれっ?
便座が両側に開いていく〜!」 |
ギーッ!
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北小岩 |
「わー!」 |
ベチョ!
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北小岩 |
「便座が両側にスライドして外れてしまい、
そのまま自分の便の上に
お尻が落ちてしまいました!」
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小林 |
「何言っとるんや?先に出るで」 |
カラカラッ
シュッ
ジョリジョリジョリ
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小林 |
「痛っ!
紙の両面が、やすりになっとる。
しかし、他に紙がないから、
使うしかない!」 |
ジョリジョリジョリ
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小林 |
「痛え!
このままでは、ケツの穴が削れてしまう!
しかし、他に紙がないから、
使うしかない!」
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ジョリジョリ
なぜこのような現象が起きたのか。
公衆トイレの主張に耳を傾けてみよう。
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公衆
トイレ |
「ここを使う奴らは、
危機一髪で漏れそうな輩も多いのに、
用が済むと感謝をしないのみならず、
汚くして帰るんだよ。
俺たちはそんな奴らに反撃しようと思って、
いろいろ困らせてやってるんだ!」
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公衆トイレの言い分にも一理ある。
今後、外出時に用を足す人たちは、
もっともっと公衆トイレに敬意を払って
使用するべきであろう。
自戒したい。
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