KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百七拾七・・・緊張感

ふがち〜ん ふがち〜ん

「この緩みきったいびきは、
 小林秀雄先生でございますね。
 師走というのに、まったく走る気配も見せません」

ふわ〜

「怠惰な者に接していたら、
 わたくしまで眠くなってしまいました」

ふわ〜〜〜

「あっ!」

ぐきっ

「ふわっ、ふわごがふずれへしまいまひた
 (あごがはずれてしまいました)」

世間様は年末で忙しいさなか、
意味もなくアゴをはずしているのは
弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「ひょうでごひゃいまひゅ。
 えろひょんをくひにひゅっこめひゃ
 なひょるかもひれまひぇん
 (そうでございます。
  エロ本を口に突っ込めば
  治るかもしれません)」

ガッ

何の根拠もなく、
小林先生のエロ本を口に突っ込んでみる。

小林 「何しとるんや!
 俺の宝物を!!」

ゴン

北小岩 「げほげほ。痛いでございます。
 あっ、先生のアゴヘのキックで、
 もとに戻りました」
小林 「自慢のエロ本に歯形が・・・。
 しゃあない。
 でもお前、アゴを外して
 間抜けな顔をしとるなんて、
 いくらなんでも緊張感がなさすぎや。
 そや、隣の隣の隣町に、
 妙に緊張感のある家があるらしい。
 行ってみよか」

二人はおまじないのつもりか、
パンツの前方に金という字を書いて、
緊張感のある家に向かった。

北小岩 「むっ、何なのかわかりませんが、
 天を衝く塔のようなものが
 何本もありますね」
小林 「油断は禁玉やな」
北小岩 「すみませ〜ん。
 こちらは緊張感に満ちたお宅と
 うかがったのですが」
緊張感
おやじ
「そうだ。
 例えばお前は、今何がしたい」
北小岩 「冷えてしまったので、尿がしたいです」
緊張感
おやじ
「じゃあ、あの塔に登れ。
 100メートル上空に、便器があるわ」

北小岩くんは下腹を強く押されて漏らしそうになり、
仕方なく梯子を登り、塔の最上部を目指した。

北小岩 「ふう。やっと着きました。
 うっ、こっ、こんなところで
 放尿するのでございますか!
 恐るべき緊張感でございます」

地上100メートルにあるのは、便器だけ。
塔は風に大きく揺れ、恐ろしさは半端ではない。

北小岩 「今までわたくしが、
 何の緊張感もなく放尿していたことが
 わかりました。
 今後は生きるか死ぬかの覚悟を決めて、
 放尿いたします」

緊張感
おやじ
「おい」
小林 「なんや!」
緊張感
おやじ
「お前、先生とか何とか言われて、
 エロ本の大家を気取っているらしいな」
小林 「お前に言われる裏筋はない。
 いや、間違った。
 お前に言われる筋合はないわ」
緊張感
おやじ
「お前が本気で
 エロ本を愛しているのだったら、
 あのエロ本塔に登って愛でてこいや!」
小林 「行ったるわ!」

高所がなにより苦手な先生。
ぶるぶる震えながら頂上に着くと、
そこにはエロ本が数冊立てかけてある小さな本棚と、
座布団が一枚あるだけだった。

小林 「確かに俺は、
 今まで緊張感なしに
 エロ本のページを
 繰っていたのかもしれん・・・」

ほとんどの人は、日々、
それほど緊張なく過ごしていることだろう。
緊張感おやじだけは違う。
しかし、そんな過剰なことが、
本当に必要あるのであろうか。
はなはだ疑問ではある。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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postman@1101.comに送ってください。

2012-01-01-SUN

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