小林 |
「なんぼ入っとる?」 |
北小岩 |
「少々お待ちくださいませ」 |
小林 |
「分け前は俺が99.999、
お前が0.001やな」 |
北小岩 |
「かしこまりました」 |
ガタガタッ
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北小岩 |
「何かがたくさん入っております」 |
小林 |
「やったな。はよう、よこさんかい」 |
北小岩 |
「よろしいのでございますか」 |
小林 |
「お前、もったいぶるふりをして、
ネコババしようとしとるな」 |
北小岩 |
「そんなことはございません」 |
小林 |
「すぐよこせ!」 |
北小岩 |
「かしこまりました」 |
弟子の北小岩くんが大きな木の箱を
投げるようにして途中で止めると、
中から何かが飛び出し、先生の顔についた。
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小林 |
「なんやこれは!
犬の糞やないか!!」 |
北小岩 |
「先生が99.999、
わたくしが0.001の割合で付きました」 |
先生はセコく儲けようと、家の前に賽銭箱を設置した。
しかし、金を入れる者はなく、
犬の糞が大量に投げ込まれていたのだ。
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北小岩 |
「仕方ございません。
新年早々
強ウンがついたと思えば・・・」 |
先生が般若の形相になっているのを確認し、
北小岩くんは話題をかえた。
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北小岩 |
「そっ、そういえば今日、
先生は婚活の講師に
招かれているのでございましたね。
急ぎましょう」 |
何の手違いか先生に、
結婚したい男たちにアドバイスする大役が
まわってきたのだ。
北小岩くんは師をなだめ、会場へ送り込んだ。
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北小岩 |
「出番でございます」 |
小林 |
「こほん!
君たちは今まで美しい恋をせずに
生きてきてしまったな。
そんなことでは、結婚は遠いで」 |
アドバイス
を拒否する
男A |
「なにいってんだよ、
生まれて一度も
モテたことがないおっさんが」 |
アドバイス
を拒否する
男B |
「俺たちは婚活を
かなりポジティブに考えてるぜ。
見てみろよ」 |
小林 |
「むっ!」 |
男がズボンとパンツを同時に下げると、
陰部の毛穴ひとつひとつから、
赤い糸が生えているのだった。
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アドバイス
を拒否する
男B |
「どんな女だってこれを見れば、
運命の男と出会ったと思うだろ」
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アドバイス
を拒否する
男A |
「俺は積極的に
女がお持ち帰りできるように、
ちんちんに取っ手をつけてるよ」
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小林 |
「おっ、お前ら・・・」 |
近頃の若い者はと侮ってはいけない。
彼らは彼らなりに、懸命に婚活をしているのだ。
たとえそれが、王道から遠く外れ、
ほとんど効果がないと思えるにしても。
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