びゅ〜
「凄まじい風やな」
「そうでございますね」
びゅ〜びゅ〜
「しかし、
こんな風ごときに負ける俺たちやないな」
「もちろんでございます」
「警戒しなければならんのは風やない。
例の」
ベチョッ ベチョッ
「しまった!
細心の注意を払っとったが、
敵はその上をいった。
思いっきり目に入ってしまったわ!」
「わたくしも完敗でございます。
鼻に入ってしまいました!」
恐るべき強風の中を闊歩していた
先生と弟子であったが、何に負けたのかと言えば、
犬の糞である。
風に飛ばされた糞が、
おめでたい事に、
ひとつは先生の目を、
もうひとつは弟子の鼻を直撃したのである。
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小林 |
「今年の初糞は、今日だったか・・・」 |
北小岩 |
「どこかで水道をお借りしたいですね。
あそこの家で何かの会が開かれるようです。
大勢、人が入っていきます」 |
小林 |
「しゃあない、行ってみるか」 |
勝手に上がり込む師弟であった。
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小林 |
「君たち、今日は何の会かね」 |
若者A |
「若者は壁にぶつかりやすいだろ。
一人ではぶち破れない壁を、
みんなの知恵で何とかしようと集まったのさ」 |
北小岩 |
「そうでございますか。
みなさん、スケッチブックに
何か描かれておりますね」 |
若者B |
「壁といってもいろいろあって
漠然としてしまうから、
イメージしやすくしてるんだよ」 |
小林 |
「どれ、見せてみい。
人生の先輩が金言をかましたるわ。
むっ!」 |
北小岩 |
「わたくしたちの壁と言えば、
コンクリートの厚い壁か、
天を衝く高い壁と相場が決まっておりました。
しかし、この方の壁は、
何本ものおちんちんがせり出しております」 |
若者A |
「おっさんたちはまったくモテないだろうから
わからないけれど、
俺はモテすぎて
一日に何人も相手をしなければならないんだ。
でも、限界があるだろ。
そこが俺の壁なんだよ」
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北小岩 |
「うらやましい壁でございますね。
ところで、そちらの方の絵には、
巨大なおっぱいのようなものが
たくさんあって、壁状になっておりますが」 |
若者B |
「俺も彼女がたくさんいるんだけど、
なぜかみんな巨乳なんだよ。
でも俺は、アゴが小さいから、
よく外れそうになるんだよ。
だから、その壁をぶち破りたくて、
この会に参加してみたんだよ」 |
小林 |
「北小岩、行こか」 |
北小岩 |
「はい」
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壁にぶつかり右往左往する者は多い。
しかし、壁にも様々なものがあるのだ。
いずれにせよ、先生と弟子には縁のない壁ではあるが。
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