KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百八拾・・・壁

びゅ〜

「凄まじい風やな」

「そうでございますね」

びゅ〜びゅ〜

「しかし、
 こんな風ごときに負ける俺たちやないな」

「もちろんでございます」

「警戒しなければならんのは風やない。
 例の」

ベチョッ ベチョッ

「しまった!
 細心の注意を払っとったが、
 敵はその上をいった。
 思いっきり目に入ってしまったわ!」

「わたくしも完敗でございます。
 鼻に入ってしまいました!」

恐るべき強風の中を闊歩していた
先生と弟子であったが、何に負けたのかと言えば、
犬の糞である。

風に飛ばされた糞が、
おめでたい事に、
ひとつは先生の目を、
もうひとつは弟子の鼻を直撃したのである。

小林 「今年の初糞は、今日だったか・・・」
北小岩 「どこかで水道をお借りしたいですね。
 あそこの家で何かの会が開かれるようです。
 大勢、人が入っていきます」
小林 「しゃあない、行ってみるか」

勝手に上がり込む師弟であった。

小林 「君たち、今日は何の会かね」
若者A 「若者は壁にぶつかりやすいだろ。
 一人ではぶち破れない壁を、
 みんなの知恵で何とかしようと集まったのさ」
北小岩 「そうでございますか。
 みなさん、スケッチブックに
 何か描かれておりますね」
若者B 「壁といってもいろいろあって
 漠然としてしまうから、
 イメージしやすくしてるんだよ」
小林 「どれ、見せてみい。
 人生の先輩が金言をかましたるわ。
 むっ!」
北小岩 「わたくしたちの壁と言えば、
 コンクリートの厚い壁か、
 天を衝く高い壁と相場が決まっておりました。
 しかし、この方の壁は、
 何本ものおちんちんがせり出しております」
若者A 「おっさんたちはまったくモテないだろうから
 わからないけれど、
 俺はモテすぎて
 一日に何人も相手をしなければならないんだ。
 でも、限界があるだろ。
 そこが俺の壁なんだよ」

北小岩 「うらやましい壁でございますね。
 ところで、そちらの方の絵には、
 巨大なおっぱいのようなものが
 たくさんあって、壁状になっておりますが」
若者B 「俺も彼女がたくさんいるんだけど、
 なぜかみんな巨乳なんだよ。
 でも俺は、アゴが小さいから、
 よく外れそうになるんだよ。
 だから、その壁をぶち破りたくて、
 この会に参加してみたんだよ」
小林 「北小岩、行こか」
北小岩 「はい」

壁にぶつかり右往左往する者は多い。
しかし、壁にも様々なものがあるのだ。
いずれにせよ、先生と弟子には縁のない壁ではあるが。

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2012-01-15-SUN

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