ザーザー ザーザー
「おかしいでございますね。
わたくしが身体を張って
雨がやむように仕向けているのに、
効果があらわれません」
放尿を続ける天に向かい、
意味不明なことをつぶやいているのは、
弟子の北小岩くんであった。
「お前、なぜ己のチンチンを用いて、
奇妙な儀式をしとるんや」
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北小岩 |
「あっ、先生。
儀式と言うほど大袈裟なものでは
ございません。
てるてる坊主を
二つぶら下げてみたのです」 |
小林 |
「ふ〜」 |
先生がため息をついたのも、むべなるかな。
弟子は各金玉にティッシュをかぶせ、
てるてる坊主をつくっていたのだ。
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小林 |
「そんなもんつけとるから
雨がやまんのや。
はずさんかい!」
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ビリッ
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北小岩 |
「あっ」 |
玉がむき出しになった北小岩くんであったが、
そのかいあってか空は括約筋を締めた。
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小林 |
「やんだようやな。
ほな、出かけてみるか」 |
特に用事はないのだが、
散歩好きな二人はあばら家を後にした。
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北小岩 |
「かなり降りましたから、
道路は雨だらけでございま・・・。
むっ、先生!あそこをご覧くだ」 |
言葉を最後まで聴くことなく、
先生は走り出していた。
道路は雨だらけかと思いきや、
なぜか犬の糞だらけになっており、
糞の向こう岸で
今にもパンティが見えそうな
ミニスカートをはいた女性が、
困り果てた顔で佇んでいたのだ。
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小林 |
「お嬢さん、
私の背中にお乗りください」 |
先生は戦車のように糞を踏み潰し、
パンティ女性の前に到着すると背中を差し出した。
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パンティ
女性 |
「いやです。
私、あの人におんぶしてもらうわ」 |
北小岩くんを指差した。
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北小岩 |
「光栄でございます。
ではどうぞ」 |
江戸の頃なら、
大井の渡しといったところであろうか。
弟子は糞の大河をずんずんと進んでいく。
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北小岩 |
「お嬢様、もう安心でございます」 |
パンティ
女性 |
「ありがとう。
お礼にお茶を御馳走するから、
私の家に寄っていってね」 |
小林 |
「かしこまりました」 |
いつの間にか二人の間に割り込んでいる
下賤な先生であった。
トントン トントン
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北小岩 |
「瀟洒なお宅でございますね。
奥のお部屋から
ピアノの鍵盤を叩く音がいたします」 |
パンティ
女性 |
「今日は調律師が見えてるの。
凄いのよ、
何でも調律しちゃうんだから」 |
調律師 |
「終わりました」 |
パンティ
女性の母 |
「じゃあ、次は私ね」 |
調律師 |
「はい」 |
小林 |
「?」 |
状況を理解できずに部屋をのぞくと。
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小林 |
「むっ!」
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母は近頃調子が狂いがちなおっぱいを
調律されていたのだ。
ピアノの鍵盤とは違った声がもれていたが、
それは割愛しよう。
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パンティ
女性の父 |
「終わったら俺のも頼むよ」 |
多分、チンチンを調律されるのだろう。
調律師といえば一般家庭では
ピアノをお願いすることが多いが、
プラスαの能力を持った匠が存在することは、
心に留めておきたい。
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