「は〜。穏やかな日やな」
「ふぁ〜。そうでございますね」
阿呆面さげて道を行くのは、
世の中でも有数の役に立たない師弟であった。
「誰か〜〜〜!」
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小林&
北小岩 |
「むっ!」 |
大あくびをして外れそうになっていたアゴを戻し、
叫び声の方角を凝視すると。
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悪い奴 |
「なあいいだろ。ちょっと付き合えよ」 |
女性 |
「いや!」 |
悪い奴 |
「いいからこっち来いよ」 |
女性 |
「助けて〜〜〜!」 |
悪い奴は、喧嘩をするためだけに
生まれてきたような男であった。
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小林 |
「じゃ、じゃんけんに負けた方が
行くことにするか」 |
北小岩 |
「そっ、そうでございますね」 |
「待てい!」
その時、塀の上から大音量が響き渡った。
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女性 |
「あなたは正義の味方『玉打ち仮面』さん!
助けに来てくれたのね」 |
玉打ち
仮面 |
「そうだ! 俺にまかせとけ。
悪い奴、行くぞ。トオッ!!」 |
バッ
キーン!
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玉打ち
仮面 |
「うう」 |
ジャンプして、キックを浴びせようと
したところまではよかったが、
下にあったポールで
金玉をしこたま打ってうずくまった。
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悪い奴 |
「何だ、この野郎!」 |
バッ
悪い奴がみぞおち目がけてパンチを繰り出すと、
正義の味方はバク転し、
えぐるようなパンチを見事に・・・。
キーン!
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玉打ち
仮面 |
「うう」 |
なまじバク転しようとしたばかりに、
少しジャンプしてのけぞった体勢で、
金玉にもろパンチを受けてしまった。
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悪い奴 |
「わけわかんねえな。
もういい。俺は行くわ」
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女性 |
「玉打ち仮面さん、大丈夫ですか!」 |
玉打ち
仮面 |
「なあにいつものことさ。
それよりケガはなかったかい」 |
女性 |
「はい。正義は必ず勝つんですね。
ありがとうございました!」 |
見事悪いヤツを追い払った玉打ち仮面。
正義の味方と聞くと、テレビで活躍する
強いヒーローを思い浮かべるだろう。
しかし、こんなタイプの正義の味方も存在することを、
記憶に留めておきたい。
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