「らるんらるん」
スキップしながらやって来るまぬけな男たち。
「やっぱりおニューは気持ちええなあ」
「乳首に例えれば、真ピンクでございますね」
一銭の価値もない先生とその弟子であった。
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小林 |
「靴を新調したのは20年ぶりや」 |
北小岩 |
「わたくしもでございます」 |
小林 |
「両足とも
同じ種類の靴でなければというのは、
まやかしや」 |
北小岩 |
「至言でございますね」 |
資源ゴミにすらならない男たちが、
至言もへったくれもないとは思うのだが、
事の成り行きはこうらしい。
靴屋さんに、
紛失等で片方だけ残ってしまった靴が複数あった。
サイズもばらばらで商品として売るのは困難なため、
情けで二人にくれたのである。
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小林 |
「足元が輝いとると、気分が違うわな」 |
北小岩 |
「後20年はこの靴でいけますからね」 |
物を長く使うのはもちろん悪いことではないが、
同じ靴だけを20年間履き続けるのは、
いくらなんでも長すぎるだろう。
それも一足はぶかぶか。
もう一足はきつきつなのである。
それでも。
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北小岩 |
「先生のお心のように、
いつまでも美しい状態を保って、
履かせていただきます」 |
涙ぐむ弟子であった。
その時、前方より一人の男が迫ってきた。
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小林 |
「なんやあいつは。
粘土でつくった巨大な糞を持っとるな」 |
北小岩 |
「手でひたすらつぶしてますね。
ずっと眺めているとなんだか・・・」 |
小林 |
「俺も・・・」
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師弟は道端に落ちていた巨大な糞に、
夢遊病者のように近づいていく。
ぐにゅ ぐにゅ
踏み抜いたところで我に返った。
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小林&
北小岩 |
「うわ。おニューの靴が・・・」 |
小林 |
「貴様、暗示にかけたやろ」 |
怪しげな男は粘土の糞を、
今度は巨大なチンポにかえ、
そこにパンチを二発かました。
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小林 |
「凶暴な気持ちになってくるな」 |
北小岩 |
「そうでございますね。お覚悟を!」 |
小林 |
「お前もや!」 |
ボクッ ボクッ
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小林&
北小岩 |
「うぐっ!」 |
ドタッ ドタッ
先生は弟子のチンポに、
弟子は先生のチンポに
力いっぱいパンチを叩き込み、
二人はあまりの痛さに卒倒した。 |
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暗示をかけた男が何者なのかはわからない。
しかし、敵に回すと
やっかいな男であることだけは確かであろう。
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