KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百九拾参・・・不審物

小林 「20年ぶりなのに、もう行くんか」
20年
ぶりの友
「途中下車して、
 ストリップを観てから
 帰ろうと思うんだよ。
 毛満見栄留(けまんみえる)さんの
 ショーが、夕方の6時9分からなんだ。
 そろそろ行かなくちゃ」
北小岩 「そうでございますか。
 わたくしたちも
 ご一緒したいところでございますが、
 なにぶん金欠状態でございまして」
20年
ぶりの友
「一人でたっぷり楽しませてもらうよ」

別れのさみしさが微塵もないが、
先生宅に遊びに来た友人が、
帰ろうとしている場面なのである。

北小岩 「駅までお見送りいたしませんか」
小林 「そやな」

プッ プッ プッ

立ち上がると同時に、三人は屁をこいた。
ある意味、見事なアンサンブルと言えなくもないが、
それはほめすぎであろう。

北小岩 「おならも別れがたいようでございますね」
小林 「そやな」
20年
ぶりの友
「屁と屁が手を取り合っていたね」

そんなことはないだろう。
三人の屁がブレンドされ、
奇妙な香りを醸し出しただけだ。
ともかく家をあとにした三馬鹿大将は、
駅に向かった。

20年
ぶりの友
「せっかくここまで来てくれたんだから」

心優しき友は、二人に入場券を買った。

北小岩 「構内に入るのは、
 久しぶりでございますね。そういえば」

『駅構内または車内で
 不審なものを見つけた場合は、
 すぐに駅係員または乗務員にお知らせください』

北小岩 「この看板よく見かけますが、
 駅にはたくさんの不審物が
 置いてあるのでございましょうか。
 むっ!」

弟子の目の先にあるのは、ぼ〜っと光る行燈だった。

北小岩 「なぜこのような所に?」

のぞきこんでみると。

北小岩 「大変でございます!
 中に金玉が二つ入っていて、
 それが光を放っているのでございます。
 すぐに駅係員さんに
 お知らせしなければなりません!」

その時、大便をひりにいっていた先生が、
奇妙な物体を手にして現れた。

小林 「個室にこんなものがあった」
北小岩 「うわっ!
 便座と便器の間に、
 おちんちんが挟まっております。
 いったいどうしたことで
 ございましょう???」
小林 「わからんが、俺も一緒に知らせにいくわ」
20年
ぶりの友
「それがいいね」

駅で不審物を見かけたら、
すぐに知らせた方がよいのは確かである。
しかし、この二つ、
いったい誰が何の目的で置いていったのか。
謎は深まるばかりである。

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2012-04-15-SUN

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