小林 |
「20年ぶりなのに、もう行くんか」 |
20年
ぶりの友 |
「途中下車して、
ストリップを観てから
帰ろうと思うんだよ。
毛満見栄留(けまんみえる)さんの
ショーが、夕方の6時9分からなんだ。
そろそろ行かなくちゃ」 |
北小岩 |
「そうでございますか。
わたくしたちも
ご一緒したいところでございますが、
なにぶん金欠状態でございまして」 |
20年
ぶりの友 |
「一人でたっぷり楽しませてもらうよ」 |
別れのさみしさが微塵もないが、
先生宅に遊びに来た友人が、
帰ろうとしている場面なのである。
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北小岩 |
「駅までお見送りいたしませんか」 |
小林 |
「そやな」 |
プッ プッ プッ
立ち上がると同時に、三人は屁をこいた。
ある意味、見事なアンサンブルと言えなくもないが、
それはほめすぎであろう。
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北小岩 |
「おならも別れがたいようでございますね」 |
小林 |
「そやな」 |
20年
ぶりの友 |
「屁と屁が手を取り合っていたね」 |
そんなことはないだろう。
三人の屁がブレンドされ、
奇妙な香りを醸し出しただけだ。
ともかく家をあとにした三馬鹿大将は、
駅に向かった。
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20年
ぶりの友 |
「せっかくここまで来てくれたんだから」 |
心優しき友は、二人に入場券を買った。
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北小岩 |
「構内に入るのは、
久しぶりでございますね。そういえば」 |
『駅構内または車内で
不審なものを見つけた場合は、
すぐに駅係員または乗務員にお知らせください』
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北小岩 |
「この看板よく見かけますが、
駅にはたくさんの不審物が
置いてあるのでございましょうか。
むっ!」 |
弟子の目の先にあるのは、ぼ〜っと光る行燈だった。
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北小岩 |
「なぜこのような所に?」 |
のぞきこんでみると。
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北小岩 |
「大変でございます!
中に金玉が二つ入っていて、
それが光を放っているのでございます。
すぐに駅係員さんに
お知らせしなければなりません!」
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その時、大便をひりにいっていた先生が、
奇妙な物体を手にして現れた。
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小林 |
「個室にこんなものがあった」 |
北小岩 |
「うわっ!
便座と便器の間に、
おちんちんが挟まっております。
いったいどうしたことで
ございましょう???」 |
小林 |
「わからんが、俺も一緒に知らせにいくわ」 |
20年
ぶりの友 |
「それがいいね」
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駅で不審物を見かけたら、
すぐに知らせた方がよいのは確かである。
しかし、この二つ、
いったい誰が何の目的で置いていったのか。
謎は深まるばかりである。
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