KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百・・・庭の生き物

北小岩 「ついこの間、
 草むしりをしたばかりなのに、
 油断するとまた
 にょっきにょき生えてまいります」

プィ〜〜〜ン

北小岩 「蚊さんも出現いたしました。
 これから暑さが増すと、
 むしっている最中に
 10匹以上の群れで襲ってきます。
 今日、一気にむしりきることが
 重要でございましょう」

ブチブチ

北小岩 「猫の玉金のように小さなお庭でも、
 様々な命が
 息づいているものでございますね」

ブチッ

北小岩 「あっ、カマキリさんでございます。
 万年弟子のわたくしと違って、
 堂々としてとても強そうです」

ひらひらひらり〜ん

北小岩 「アゲハチョウさんが飛んでまいりました。
 優雅でございます」

ガシッ

北小岩 「うわっ、
 カマキリさんに捕まりました!
 このままでは食べられてしまいます。
 今なら助けられるかもしれません。
 しかし、それは人間の
 一方的なやさしさでございましょう。
 狩りをしなければ生きられない
 カマキリさんも、日々命懸け。
 食欲にはあらがえ」
小林 「おい、お前。
 なぜ昼間っから性欲がどうのと、
 エロ臭い話をしとるんや」
北小岩 「先生。
 性欲ではございません。
 今、チョウチョさんがカマキリさんに
 捕まってしまったのでございます。
 助けた方がよいのか、
 自然の掟に従った方がよいのか」
小林 「そんな心配は無用やな」
北小岩 「と申しますと?」
小林 「そのカマキリは、
 カマキリであってカマキリやない。
 目ん玉おっぴろげて、
 よ〜く観察してみい」
北小岩 「むっ!
 カマキリさんが、
 チョウチョさんの秘所を
 舐めまわしております!
 心なしか、チョウチョさんが
 うっとりしております。
 解放いたしました」
小林 「そや。
 今年から家に遊びに来るようになった
 性虫の『カマエロ』やな」
北小岩 「そうでございましたか。
 ともかく、
 チョウチョさんが食べられるところを
 見てしまうより、
 舐められるところを見た方が、
 何倍も幸せな気分でございます」

ぴょ〜ん

北小岩 「こちら物凄いジャンプ力でございます。
 カエルさんかと思ったら、
 カメさんなのですね」
小林 「大きな石の向こうを見るために、
 ハイジャンプしとるんや」
北小岩 「ということは」

バッ

北小岩 「やはりそうでございましたか。
 石の向こう側で、
 ダンゴ虫さんが交尾しております」
小林 「名前は言うまでもないな」
北小岩 「はい。
 『出歯亀』さんでございますね」
小林 「うむ」

先生の庭の生き物たちは、
ろくでもないものばかりのようである。
とはいえ、ある意味平和な光景と、
言えなくもない気もする。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2012-06-03-SUN

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