北小岩 |
「ついこの間、
草むしりをしたばかりなのに、
油断するとまた
にょっきにょき生えてまいります」 |
プィ〜〜〜ン
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北小岩 |
「蚊さんも出現いたしました。
これから暑さが増すと、
むしっている最中に
10匹以上の群れで襲ってきます。
今日、一気にむしりきることが
重要でございましょう」 |
ブチブチ
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北小岩 |
「猫の玉金のように小さなお庭でも、
様々な命が
息づいているものでございますね」 |
ブチッ
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北小岩 |
「あっ、カマキリさんでございます。
万年弟子のわたくしと違って、
堂々としてとても強そうです」 |
ひらひらひらり〜ん
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北小岩 |
「アゲハチョウさんが飛んでまいりました。
優雅でございます」 |
ガシッ
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北小岩 |
「うわっ、
カマキリさんに捕まりました!
このままでは食べられてしまいます。
今なら助けられるかもしれません。
しかし、それは人間の
一方的なやさしさでございましょう。
狩りをしなければ生きられない
カマキリさんも、日々命懸け。
食欲にはあらがえ」
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小林 |
「おい、お前。
なぜ昼間っから性欲がどうのと、
エロ臭い話をしとるんや」
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北小岩 |
「先生。
性欲ではございません。
今、チョウチョさんがカマキリさんに
捕まってしまったのでございます。
助けた方がよいのか、
自然の掟に従った方がよいのか」
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小林 |
「そんな心配は無用やな」
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北小岩 |
「と申しますと?」
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小林 |
「そのカマキリは、
カマキリであってカマキリやない。
目ん玉おっぴろげて、
よ〜く観察してみい」
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北小岩 |
「むっ!
カマキリさんが、
チョウチョさんの秘所を
舐めまわしております!
心なしか、チョウチョさんが
うっとりしております。
解放いたしました」
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小林 |
「そや。
今年から家に遊びに来るようになった
性虫の『カマエロ』やな」
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北小岩 |
「そうでございましたか。
ともかく、
チョウチョさんが食べられるところを
見てしまうより、
舐められるところを見た方が、
何倍も幸せな気分でございます」
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ぴょ〜ん
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北小岩 |
「こちら物凄いジャンプ力でございます。
カエルさんかと思ったら、
カメさんなのですね」
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小林 |
「大きな石の向こうを見るために、
ハイジャンプしとるんや」
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北小岩 |
「ということは」 |
バッ
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北小岩 |
「やはりそうでございましたか。
石の向こう側で、
ダンゴ虫さんが交尾しております」
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小林 |
「名前は言うまでもないな」
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北小岩 |
「はい。
『出歯亀』さんでございますね」
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小林 |
「うむ」
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先生の庭の生き物たちは、
ろくでもないものばかりのようである。
とはいえ、ある意味平和な光景と、
言えなくもない気もする。
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