小林 |
「紫陽花が、
スカートめくりされたように咲いとるな」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「そろそろ、お梅雨がやってくるな」
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北小岩 |
「毎年、お梅雨の楽しみ方には
苦労いたしますね」
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小林 |
「そやな」
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北小岩 |
「昨年は、雨に濡れた石畳が
風情あるということで、
12キロほど歩いて
石畳の坂を満喫しようといたしましたが」
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小林 |
「二人同時にすべって後ろに倒れ、
運悪く犬のウンの上に
各自尻もちをついてしまったんや」
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北小岩 |
「見事と言いましょうか、
二人ともお尻の穴の部分で
ウンをつぶしたのでございますね」
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じめじめした梅雨よりも、
何倍もじめじめし腐った、
誰も聞きたくない会話を続ける師弟であった。
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北小岩 |
「今年のお梅雨はどのように」 |
「やだ〜!」
「言う事聞かないと置いてくわよ!」
「やだ〜! やだ〜!」
バシッ!
「ぶった〜! わ〜〜〜ん!!」
若いおかあさんが、幼稚園児の息子をはり倒した。
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北小岩 |
「あははは。
反抗期でございますね。
先生、わたくし強烈な尿意を
催してまいりましたので、
公衆トイレに行ってまいります」
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小林 |
「俺もストロングな便意を催しとるから、
つき合うわ」
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先生は個室に入り、弟子は小便器に向かった。
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北小岩 |
「ふう、大量にたまっております。
もう少しでもらすところ」 |
シーン
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北小岩 |
「むっ、括約筋をゆるめきっているのに、
一滴も尿が出ません!」
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小林 |
「俺も肛門を開ききっとるのに、
まったく出る気配がない。
どういうこっちゃ!」 |
「それはな、反抗期なんじゃよ」
先生の個室の隣部屋から、
長老のような声が聞こえた。
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北小岩 |
「あなたがどなたか存じませんが、
詳しくお聞かせください」
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長老の
ような
声の人 |
「お前の小便と隣に入っている奴の大便が
反抗期を迎えて、
出るのをいやがっとるんじゃ」
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北小岩 |
「そうなのでございますか!
しかし、いったいいつになったら
出ていただけるのでございますか」
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長老の
ような
声の人 |
「もう少し大人になるまで
待つしかないじゃろな」
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小林&
北小岩 |
「・・・」
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反抗期があるのは、人だけではない。
現にこの師弟は、便の反抗により
長期間のたうちまわったという。
だからどうだといえば、
どうということはないのであるが。 |