KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百六・・・くしゃみ

シトシトシトシト

北小岩 「あと何日で梅雨が終わるのでしょうか」

シュシュシュ

小林 「そやな。
 今はこのように、雲がスカートとなり、
 太陽を隠してしまっとるわけや」

シュシュシュ、というのが何の音かと言えば、
先生が画用紙に絵を描いている音なのである。

北小岩 「どうすればよいのでしょうか」
小林 「そやな」

シュシュシュシュシュワ~

小林 「雲のスカートをめくってみたらどうや」
北小岩 「うわ。
 絵に人格が宿るとでも申しましょうか。
 雲さんにも太陽さんにも
 申し訳がたたないほどの、
 エゲツない絵でございますね」

小林 「近頃お前、正直すぎんか」
北小岩 「申し訳ございません。
 わたくし、実は先生の絵の
 大ファンなのでございます。
 そこはかとなく漂ってくる
 やさしさとペーソス、
 そこから醸し出される
 人としての卑しさ、醜さ。
 はっ、間違えました!」

弟子は先生の絵を
無理に持ち上げようとしたのだが、無理だった。

小林 「まあよいわ。
 しかし、はっ、はっ、はくしょ~ん」
北小岩 「先生、季節の変わり目ですから、
 お風邪にはお気をつけ、
 ふぁっふぁっふぁくしょ~ん」
小林 「お互いに気をつけな、はくしょ~ん!」

ササッ

ピタッ

プク~

北小岩 「うわ。
 忍者のように素早いおじいさんが、
 先生がくしゃみをした瞬間に、
 鼻に特殊ゴムを着けました。
 くしゃみにより
 ゴムは膨らんだのですが、
 その大きさ、形状は
 先生のイチモツそのもののようで
 ございました」
通りすがり
の女性
「私、見てましたけど、
 信じられないぐらい
 小さかったですね」
北小岩 「そんなことを言っては先生に、
 ふぁくしょ~ん!」

ササッ

ピタッ

プク~プク~プク~

通りすがり
の女性
「うわあ!
 あなたのは、ごりっぱね。
 惚れ惚れしちゃう!」

女性は特殊ゴムをなでなでした。

北小岩 「ゴムですので、
 それ以上は大きくなりません」

最後の弟子の発言は、やや勇み足であろう。

ところで人間ワザとは思えない素早さで、
的確に鼻にゴムを着けていくおじいさん。
この男がいったい何者なのか。
それは謎のままであるが、
はっきり言ってしまえばどうでもいいことであろう。

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2012-07-15-SUN

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