先生と北小岩くんが、散歩をしている。
いつものことだ。
先生と北小岩くんが、まぬけな顔をしている。
いつものことだ。
先生と北小岩くんの足元に、
サッカーボールが転がってきた。
いつものこととは言い切れないが、
多分いつものような展開を迎えるのではないか。
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少年 |
「おじさ〜ん、ボールとってくださ〜い」 |
いたいけな少年が不用意に近づいてしまった。
ボグッ
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少年 |
「うぐっ」 |
先生が短い足で
渾身の力を込めて蹴ったボールは、
少年の玉金に的中。
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少年 |
「いっ、いて〜〜〜。
玉がつぶれたかも〜〜〜」 |
小林 |
「お前なんぞ、
将来モテる見込みもないんやから、
つぶれたとしても大勢に影響はないわな」 |
「なに!」
通りかかったのは少年の父だった。
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少年の
父 |
「俺の息子の息子に
とんでもねえことしときながら、
その言いぐさはなんだ。
俺が貴様の玉を砕いてやる!」 |
小林 |
「上等やな。
18金と言われる俺の金玉が、
お前なんかに砕けるわけ」 |
北小岩 |
「先生、この方は
元プロサッカー選手でございます。
わたくしの記憶によりますと、
PKで相手のキーパーの
玉を砕いたことが」 |
ぼぐぐぐぐぐーッ!
弟子が言い終えぬうちに、
うなりをあげた球が、玉をえぐった。
ぐしゃ〜
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小林 |
「ぐわ〜〜〜〜〜」 |
少年 |
「たまや〜〜〜!」 |
こうして醜き玉は砕かれた。
先生がうずくまっている道の向こうで、
上玉のOLが二人。
何を思ったか、眼鏡の青年ににじり寄る。
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上玉A |
「私、眼鏡の男の人に萌えるのよ」 |
上玉B |
「私もよ。
ああ、もうどうにでもして」
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二人は青年に頬ずりをした。
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北小岩 |
「先生、あのようなブ男が、
眼鏡をかけているだけで
モテております」 |
小林 |
「なに〜。
あの角を曲がったところに
眼鏡屋があるやろ。
急げ」 |
玉を砕かれたために、
いつもより覇気が感じられないが、
ともかく師弟は眼鏡店に向かった。
そこには基礎体温計付き眼鏡、
ミニスカート目ちら眼鏡、
イチモツすかし眼鏡、
極太お好み眼鏡など、
バラエティーにとんだ逸品が並んでいたが、
先生は激痛がぶり返し
その場で気を失ってしまったため、
眼鏡を試すことはできなかった。
ともかく、
暑いさなかのどうでもよい出来事であった。
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