KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百八・・・眼鏡

先生と北小岩くんが、散歩をしている。

いつものことだ。

先生と北小岩くんが、まぬけな顔をしている。

いつものことだ。

先生と北小岩くんの足元に、
サッカーボールが転がってきた。

いつものこととは言い切れないが、
多分いつものような展開を迎えるのではないか。

少年 「おじさ~ん、ボールとってくださ~い」

いたいけな少年が不用意に近づいてしまった。

ボグッ

少年 「うぐっ」

先生が短い足で
渾身の力を込めて蹴ったボールは、
少年の玉金に的中。

少年 「いっ、いて~~~。
 玉がつぶれたかも~~~」
小林 「お前なんぞ、
 将来モテる見込みもないんやから、
 つぶれたとしても大勢に影響はないわな」

「なに!」

通りかかったのは少年の父だった。

少年の
「俺の息子の息子に
 とんでもねえことしときながら、
 その言いぐさはなんだ。
 俺が貴様の玉を砕いてやる!」
小林 「上等やな。
 18金と言われる俺の金玉が、
 お前なんかに砕けるわけ」
北小岩 「先生、この方は
 元プロサッカー選手でございます。
 わたくしの記憶によりますと、
 PKで相手のキーパーの
 玉を砕いたことが」

ぼぐぐぐぐぐーッ!

弟子が言い終えぬうちに、
うなりをあげた球が、玉をえぐった。

ぐしゃ~

小林 「ぐわ~~~~~」
少年 「たまや~~~!」

こうして醜き玉は砕かれた。
先生がうずくまっている道の向こうで、
上玉のOLが二人。
何を思ったか、眼鏡の青年ににじり寄る。

上玉A 「私、眼鏡の男の人に萌えるのよ」
上玉B 「私もよ。
 ああ、もうどうにでもして」


二人は青年に頬ずりをした。

北小岩 「先生、あのようなブ男が、
 眼鏡をかけているだけで
 モテております」
小林 「なに~。
 あの角を曲がったところに
 眼鏡屋があるやろ。
 急げ」

玉を砕かれたために、
いつもより覇気が感じられないが、
ともかく師弟は眼鏡店に向かった。

そこには基礎体温計付き眼鏡、
ミニスカート目ちら眼鏡、
イチモツすかし眼鏡、
極太お好み眼鏡など、
バラエティーにとんだ逸品が並んでいたが、
先生は激痛がぶり返し
その場で気を失ってしまったため、
眼鏡を試すことはできなかった。

ともかく、
暑いさなかのどうでもよい出来事であった。
 

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2012-07-29-SUN

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