北小岩 |
「とんとん入ってますか」
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小林 |
「入ってますよ」
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北小岩 |
「目覚めておりますか」
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小林 |
「目覚めておりますよ」 |
寝苦しさのあまり、
早朝の中途半端な時間に
目がぱっちりしてしまう二人。
どうせなら日が昇るか昇らないかのうちに
起きてしまおうということとなった。
便意をもよおした先生が、
再び夢の中へ戻らないように、
北小岩くんが注意深くとんとんした。
ポタポタ
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小林 |
「はあ〜。
便所に軽く籠っただけで、この汗や」
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北小岩 |
「そうでございますね」
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小林 |
「女体に汗なら
まだ艶っぽい気もするが、
男体に汗ほど
無駄なものはない気もするな」
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北小岩 |
「はい。
せめて毛穴から炭酸でも出れば、
少しは気持ちいいでしょうね」 |
気持ちいいかどうかはよくわからない。
もしも大汗かきのおっさんが
炭酸を出していたら、
シュワシュワし過ぎて不気味であろう。
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小林 |
「じゃそろそろ、
散歩に行くとするか」
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北小岩 |
「そういたしましょう」 |
結局何時に起きようが他にすることがないので、
散歩となる。
「ターッ!ターッ」
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北小岩 |
「時間が早いと、
町の表情がまったく違いますね。
どこかのおじいさまが、
竹刀で素振りをしているようでございます」
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小林 |
「そう思うか。
目ん玉おっぴろげてよく見てみい」
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北小岩 |
「うわっ!」 |
てっきり竹刀かと思ったのだが、
おじいさんは自分のちんちんを
素振りしていたのである。
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北小岩 |
「まだ現役みたいでございますね」
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小林 |
「イチモツがらみでいえば、
あのじいさんだけやない」
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北小岩 |
「と申しますと」
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小林 |
「そこの電信柱を見てみい」
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北小岩 |
「うわっ、うわっ。
昼間よりも数倍太くなっております。
もしかすると、
電柱も朝膨らむのでございましょうか」
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小林 |
「噂には聞いたことがあったが、
ほんとに人間とかわらぬ現象が
起こるんやな」
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すーっすーっ
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北小岩 |
「何かが寝ているようでございます」
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小林 |
「寝息をたてているのは、犬の糞や」
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北小岩 |
「・・・」 |
寝苦しさから逃れるために早起きした師弟。
本来早朝はさわやかなものであるが、
この町に限ってそんなことはなかった。
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