KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百拾参・・・暑さよさらば

ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ
 オーシンツクツク オーシンツクツク

小林 「ツクツクボウシがおさかんやな」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「今年もあっという間に
 夏が終わったな」

ビュッ

北小岩 「あっ、ツクツクボウシさんが、
 低空飛行でこちらに向かってまいります」
小林 「蝉もやっと、
 俺たちの重要性に気づいたか」

シャッ

北小岩 「先生に小便をかけて、
 Uターンいたしました」

バタッ

北小岩 「力尽きて、地面に落ちました」
小林 「ううう」
北小岩 「泣いてらっしゃるのですか」
小林 「小便が目に入ったんや」

先生の目に小便をかけ、
地上での短い生を終えたツクツクボウシ。
立派な一生であったというべきであろう。

小林 「蝉たちは去りゆくが、
 まだまだ暑さは去りきっとらんな」
北小岩 「名残惜しいのでございましょうか」
小林 「わからんが、
 隣町で『暑さよさらば』の会が
 催されているはずや。
 行ってみよか」

二人は氷屋さんにもらった氷の破片をパンツに入れ、
冷たさを動力として隣町に乗り込んだ。

小林 「噂によると、
 えらくスケベなお別れ方法を
 やっとるらしいで」

「暑さよさらば!」

「わっしょいわっしょい!!」

ぶわっ

キャー!

「暑さよさらば!」

「わっしょいわっしょい!!」

ぶわっ

キャー!

小林 「見ろ!
 巨大なうちわに
 ミニスカのねえさんが括りつけられとる。
 褌姿の益荒男たちが、
 うちわを持って扇ぐたびに丸見えや!」


この町では若い女性の希望者を募り、
ミニスカ女性付きのうちわを扇ぐことで、
暑さに別れを告げるのだ。

ばんざーい!

あまりの景観に先生は両手をあげたが、
タイミングが悪かった。
過酷な作業をしなければならないうちわの希望者に、
立候補する形となってしまったのだ。

先生は黒いうちわに括りつけられ、
黒い褌をはかされた。

「スズメバチよさらば!」

「わっしょいわっしょい!!」

ぶわっ

うぉー!

「スズメバチよさらば!」

「わっしょいわっしょい!!」

ぶわっ

うぉー!
 
益荒男たちは、
先生付きの黒うちわを扇ぎながら、
軒下にあるスズメバチの巣を攻撃した。

怒ったスズメバチは、黒褌目がけて襲い掛かった。
スズメバチの逆襲により、
褌の下に棲息する悪の巣が退治されることとなった。

季節は実りの秋へ。

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2012-09-02-SUN

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