トンカントンカン
おや、めずらしい。
日曜大工に精を出すは、弟子の北小岩くん。
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北小岩 |
「夏の雨の仕業でございましょうか。
すっかり縁台が腐っております」 |
トンカントンカン
ぼきっ
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北小岩 |
「木で補強しようと思ったのですが、
台の足が折れてしまいました」 |
木と言っても、
ゴミで出されていたかまぼこ板である。
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北小岩 |
「実りの秋、
わたくしに実りは来るのでしょうか。
むっ、もしや!
これは実っているのではないでしょうか」 |
何が実っているというのだろう。
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北小岩 |
「今、わたくしは
自分の金玉さんを覗き見てみました。
すると、今までにない黒い輝きを
放っているようなのでございます」
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小林 |
「お前さっきから、
なに訳のわからんこと言うとるんや。
単に夏にフルチンのまま
縁台で寝とったから、
玉が日焼けしただけやろ」
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北小岩 |
「確かにそうかもしれません」
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やはり二人の会話など、聞くだけ無駄であった。
「宅配便です!」
珍しく荷物が届いた。
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北小岩 |
「ありがとうございます。
むむっ!
わたくしの女性のいとこからなのですが、
中身がパンティーと書かれています」
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小林 |
「なに!
よこせ!!」
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北小岩 |
「いくら先生でも、いやでございます」
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小林 |
「お前、恩を忘れたわけやないな」
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北小岩 |
「わたくしのいとこは、
若くてかわいいのでございます。
そのような方が、わたくしを指名して、
脱ぎたてほやほやのパンティーを
送ってくれたのでございます。
渡すわけにはまいりません」
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小林 |
「うるせえ!」
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北小岩 |
「あっ!」
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小林 |
「開けるで!!」 |
ビリッ
強引に奪いとった師が鼻の下を伸ばした。
だが。
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小林 |
「なんと!」 |
大騒ぎするほどのことではない。
単にパンとティーが入っているだけだった。
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北小岩 |
「残念でございましたね!
これはわたくしが飲食いたします」
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見苦しい以外に表現しようのない風景。
先生宅の秋のひとこまであった。
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