ボ〜ッ ボ〜ッ
何の音であろうか。豪華客船の汽笛か。
実は音のようで音ではない。
もちろん、豪華なはずはない。
あの二人がぼ〜っとしているだけの話なのだから。
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小林 |
「何もしないというのは、
それはそれで過酷なもんやな」
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北小岩 |
「そうでございますね。
脳や身体は、どちらかと言えば
何かをする方を望んでいるようですね」
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小林 |
「何をするかが問題やな」
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北小岩 |
「常にぼ〜っとしているわけですから、
海に汽笛を聴きに行くというのは
どうでございましょう」
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小林 |
「お前もなかなか成長したな。
俺たちに海と豪華客船はお似合いや」 |
そんなことはないだろう。
師弟にお似合いは、当然、おわい船だ。
とにかく、どこへでも歩いて行ってしまうこの人たち。
旅路の途中、自分の屁を握って嗅ぎ、
その臭さをガスに海に向かった。
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小林 |
「自分の屁だけではスピードが出ず、
終盤俺の屁はお前が、
お前の屁は俺が嗅ぐという戦略をとったが」
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北小岩 |
「どうやら失敗に
終わったようでございますね」
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小林 |
「お互い、
気持ち悪くなってしゃがみこんだな」 |
耳を傾ける価値がまったくない会話なので、
先に進もう。
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北小岩 |
「こんなところに、
木でできた小さな桟橋がございます」
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小林 |
「日活映画のヒーローになった気分やな。
むっ」 |
みしみし ばきっ
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小林&
北小岩 |
「うわ〜」 |
びりっ じゃぶ〜ん
木が腐っていた。
先生は桟橋の手すりの釘にズボンと下着をひっかけ、
ふるちん状態で海へ。
とはいえこの師弟、悪運が強いのか
桟橋の床が筏のかわりとなった。
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北小岩 |
「沖に流されていきますね」 |
どんぶらどんぶら〜
漂流して二時間ほどたっただろうか。
筏に巨大なカニがのってきた。
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小林 |
「ずいぶん鋭利なハサミを持っとるな」 |
ジョキジョキ〜
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小林 |
「しまった!
陰毛をすべて切られた!」
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北小岩 |
「カニの散髪屋さんだったのですね」
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じゃぱっ! ぺたっ!
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小林 |
「しまった!
ケツの穴をふさぐ形で、
コバンザメが張り付いてしまった!」
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北小岩 |
「大変でございます。
そのままでは屁も便もできません。
えいっ!」 |
びよ〜〜〜ん むにょ〜〜〜ん
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小林 |
「うお〜!
止めんか!
肛門が伸びきって、
脱肛になってしまったわ〜〜〜」
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この先、どんな海の生き物たちが
先生を襲うのであろうか。
一言でいってしまえば、先生の下半身がどうなろうと、
どうでもいいことなのではあるが。
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