KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百弐拾壱・・・漂流

ボ〜ッ ボ〜ッ

何の音であろうか。豪華客船の汽笛か。

実は音のようで音ではない。
もちろん、豪華なはずはない。
あの二人がぼ〜っとしているだけの話なのだから。

小林 「何もしないというのは、
 それはそれで過酷なもんやな」
北小岩 「そうでございますね。
 脳や身体は、どちらかと言えば
 何かをする方を望んでいるようですね」
小林 「何をするかが問題やな」
北小岩 「常にぼ〜っとしているわけですから、
 海に汽笛を聴きに行くというのは
 どうでございましょう」
小林 「お前もなかなか成長したな。
 俺たちに海と豪華客船はお似合いや」

そんなことはないだろう。
師弟にお似合いは、当然、おわい船だ。
とにかく、どこへでも歩いて行ってしまうこの人たち。
旅路の途中、自分の屁を握って嗅ぎ、
その臭さをガスに海に向かった。

小林 「自分の屁だけではスピードが出ず、
 終盤俺の屁はお前が、
 お前の屁は俺が嗅ぐという戦略をとったが」
北小岩 「どうやら失敗に
 終わったようでございますね」
小林 「お互い、
 気持ち悪くなってしゃがみこんだな」

耳を傾ける価値がまったくない会話なので、
先に進もう。

北小岩 「こんなところに、
 木でできた小さな桟橋がございます」
小林 「日活映画のヒーローになった気分やな。
 むっ」

みしみし ばきっ

小林&
北小岩
「うわ〜」

びりっ じゃぶ〜ん

木が腐っていた。
先生は桟橋の手すりの釘にズボンと下着をひっかけ、
ふるちん状態で海へ。
とはいえこの師弟、悪運が強いのか
桟橋の床が筏のかわりとなった。

北小岩 「沖に流されていきますね」

どんぶらどんぶら〜

漂流して二時間ほどたっただろうか。
筏に巨大なカニがのってきた。

小林 「ずいぶん鋭利なハサミを持っとるな」

ジョキジョキ〜

小林 「しまった!
 陰毛をすべて切られた!」
北小岩 「カニの散髪屋さんだったのですね」

じゃぱっ! ぺたっ!

小林 「しまった!
 ケツの穴をふさぐ形で、
 コバンザメが張り付いてしまった!」
北小岩 「大変でございます。
 そのままでは屁も便もできません。
 えいっ!」

びよ〜〜〜ん むにょ〜〜〜ん

小林 「うお〜!
 止めんか!
 肛門が伸びきって、
 脱肛になってしまったわ〜〜〜」

この先、どんな海の生き物たちが
先生を襲うのであろうか。
一言でいってしまえば、先生の下半身がどうなろうと、
どうでもいいことなのではあるが。

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2012-10-28-SUN

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