ひゅ〜
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北小岩 |
「厳しいでございますね」 |
何が厳しいのであろうか。
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北小岩 |
「隙間風が、寝ているわたくしの玉金を、
なでていくのでございます」 |
薄い掛布団しかなく、それは破れている。
薄いパジャマしかなく、それは破れている。
薄いパンツしかなく、それは破れている。
薄い玉金しかなく、それは破れている。
いや、それはぼろぼろではあるが、
かろうじて破れていない。
ともかく万年書生の北小岩くんの部屋は、
壁がないに等しく寒風が吹き荒ぶ。
その風が、破れた掛布団から入り、
破れたパジャマとパンツを通過し、
玉金を直撃するのである。
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北小岩 |
「これでは今年の冬を
越せそうにございません。
新聞紙を拾って、
せめて玉金に当たる風だけでも
防いだ方がよさそうですね」 |
弟子は、
できるだけキレイな新聞紙に巡り合うために、
隣町との境まで歩いた。
ここは、先生たちの住む町から吹く風と、
隣町から吹いてくる風がぶつかり、
捨てられて町を彷徨っている新聞紙が立つのである。
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北小岩 |
「地面にべたっとついておりませんので、
キレイなのでございますね。
この新聞紙にいたしましょ。
ほほう、
野球界もストーブリーグに
突入いたしましたね。
大物選手のトレードも
あるかもしれません」
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小林 |
「お前、何をぶつぶついっとるんや。
エロ新聞でも朗読しとるんかい」
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北小岩 |
「あっ、先生。
エロではなく、ストーブリーグが」
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小林 |
「そのことか。
今から俺たちも、隣町の奴らと
ストーブリーグの話し合いを
するところや」
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北小岩 |
「トレードでもなさるのですか」
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小林 |
「そうや。
おっ、ストーブに火が入ったな」 |
文字通りストーブに点火すると同時に、
先生の町から、隣の町から続々人が集まってきた。
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先生の
町の監督 |
「今回、俺たちの町では、
モンスターサイズのイチモツの
持ち主が一人欲しいな」
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隣町の
監督 |
「そうか。
俺たちは逆に、
キングサイズの持ち主が二人欲しいんだ」
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小林 |
「ほな、ブツを確かめさせてもらって、
トレード成立やな」 |
モンスターサイズの男が隣町に移り、
キングサイズの男二人が先生の町に来た。
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隣町の
監督 |
「次は玉金だな」
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先生の
町の監督 |
「そういうことになるな。
来年に向けて、
玉に陰毛が獅子のたてがみの如く
生えている奴が欲しいな」
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隣町の
監督 |
「うちの町は、
玉袋がなさけな〜くだらり〜んと
垂れ下がった奴がいいな」
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小林 |
「ブツを確かめさせてもらって、
トレード成立やな」
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玉に陰毛が獅子のたてがみの如く
生えている奴が隣町に移り、
玉袋がなさけな〜くだらり〜んと垂れ下がった奴が
先生の町にいった。
野球の場合、戦力を補い合うために、
またくすぶり気味の選手を活性化させるために、
トレードには意味があるだろう。
しかし、隣町同士でポコチンや玉金を基準に
トレードすることに、何の意味があるのかは謎である。
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