「なかなか山頂にたどり着けません。
しかし、ここで引き返すわけにはまいりません」
ざざざざざ
「見えてまいりました。
あそこが山頂に違いありません。
ついにやりました!
むっ、大きな穴が開いておりますね。
この穴は、ケツの穴に違いありません!」
ずるっ
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
はっ。夢でございましたか」
師走というのに、
くだらなすぎる夢を見ていたのは、
弟子の北小岩くんであった。
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北小岩 |
「なぜあのような夢を。
そうでございます!
今日は我が町の英雄が、
パレードをするのでございました。
すぐに家を出なければ」 |
英雄は、この町出身の
楚々理辰夫(そそりたつお)という男。
エベレスト山の登頂に成功。
弟子がしょうもない山の夢を見たのは、
彼に会う興奮のためであった。
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北小岩 |
「この道を通って、
それから広場で講演をするのですね。
あっ、もう講演が始まっております」
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小林 |
「お前も来たんか」
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北小岩 |
「先生もでございましたか」
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小林 |
「俺と並ぶ英雄の登場やからな。
始まるで」
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司会 |
「エベレストは楚々理さんにとって、
難攻不落の地だったのですか」
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楚々理 |
「いやぁ、山は山でも、
べっぴんさんのおっぱいの方が、
よっぽど険しいねえ。
登ろうとして、
何度なだれにやられたか。
もうよだれたらたらだよ」
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北小岩 |
「・・・」
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司会 |
「楚々理さんは最高の挑戦者と言っても
過言ではないと思いますが、
日本に挑戦者と思う方は
いらっしゃいますか」
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楚々理 |
「俺より凄い奴が二人いるよ。
冬になると湖が凍るだろ。
そこでスケートをすることがあるよな。
たまにスカートで滑る女がいるんだよ。
それを下から眺めるために、
褌一丁で氷の下に
潜り込んでる奴がいるんだよ。
パンツを見るために、命懸けなんだぜ。
かなわねえよ」
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司会 |
「それはある意味、
とてつもない男ですね。
もう一人は?」
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楚々理 |
「雪国で出歯亀するために、
褌一丁で長時間
雪だるまの中に入っている奴が
いるんだよ。
カップルが乳くりあっていたら、
そいつらに気づかれないように、
ほんの少しづつ近づいてのぞくんだよ。
のぞきのために、命懸けなんだぜ。
かなわねえよ」
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この楚々理という男、
英雄なのか、ただのアホなのか。
所詮、先生の町の英雄など、
こんなものなのかもしれないが。 |