小林 |
「ちん、ちん」
|
北小岩 |
「ぽっ、ぽっ」
|
小林 |
「おっ、おっ」
|
北小岩 |
「ぱい、ぱい」
|
小林 |
「ふう〜。だいぶ走ったな」
|
北小岩 |
「そうでございますね」
|
小林 |
「1、2、3、4、
なんて掛け声より、
すがすがしいやろ」
|
北小岩 |
「確かに。さすが先生でございます」
|
二人はなぜジョギングしているのだろう。
それは。
|
小林 |
「俺たちの町に、
かなりの数の痴漢が
出没しているらしい」
|
北小岩 |
「町の女性は、
私たちが守らねばなりません」
|
小林 |
「痴漢は足の速い奴も多い。
俺たちも鍛えとかんと、
とっ捕まえることができんからな」
|
北小岩 |
「痴漢を捕まえて、
被害者の女性がわたくしたちに
好意を持つなどということが
ございましたら」
|
小林 |
「望むところやな」
|
なんという志の低き者たちだろう。
理由がどうであれ、
痴漢を捕らえることができれば、
役立ったともいえるが。
|
女性 |
「きゃ〜!
痴漢!!」
|
北小岩 |
「お嬢さん、痴漢はどこですか」
|
女性 |
「あの角を曲がっていきました」
|
小林 |
「ご安心ください。
私たちがとっ捕まえて参ります」
|
ダダッ
師弟は全力疾走。角を曲がった。
ガッ
|
小林&
北小岩 |
「わ〜!」
|
ドタッ
潜んでいた痴漢が足をかけた。
手には木刀を握っている。
|
痴漢 |
「俺に何か用か」
|
小林 |
「お前痴漢やろ!」
|
痴漢 |
「うるせえ!」
木刀を振り上げた。
|
小林 |
「しまった!
鍛えたのは走力だけで、
武術までは手がまわらんかった」
|
女性 |
「助けて!
ポンプマン!!」
ドドドドドドドド
プシュッ
|
痴漢 |
「う!」
|
ポンプマン、それは・・・。
お世辞にもカッコいいとはいえない
不細工なおっさん。
30年営んできた自転車屋を昨年廃業している。
しかし、侮るなかれ。
彼の動きは信じられないほど
素早く、自転車用空気入れの針を金玉に刺し、
瞬時に膨らませてしまうのだ。
シュッシュッシュッシュッシュッシュッシュッ
パーン!
|
痴漢 |
「きっ、金玉が破裂した!
助けてくれ〜!!」
|
ポンプ
マン |
「俺はパンクの修理は得意だが、
ただで助けてもらえると思うなよ」
|
痴漢 |
「わかりました。
有り金全部、持っていってください」
|
真っ青な顔で、財布を渡した。
ポンプマンは穴に空気漏れ防止シールを貼り、
痴漢の金玉は転がり出ずにすんだ。
|
|
|
ポンプマン・・・。
様々な問題はある気もするが、
正義の味方であることは間違いない。 |