KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百参拾・・・恋

小林 「今年も終わるな」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「ええことあったか」
北小岩 「お風呂でおならをしたのです」
小林 「ほほう」
北小岩 「泡が湯面からこんにちはをした刹那、
 表面から虹が出たのです」
小林 「なに!
 それは吉兆や。
 来年はモテるかもしれんで」
北小岩 「そうでございますか」

小林 「生まれてから一度も
 モテたことのないお前やが、
 今回ばかりは屁の泡が
 虹の架け橋になること間違いなしや」
北小岩 「そうでございますか!」
小林 「もし複数の女からモテた場合、
 わかってるやろな」
北小岩 「もちろんでございます。
 まず先生がお好みの方を
 お選びになり、
 それからわたくしの番でございます」
小林 「うむ」

これほど心が貧しい師匠も、珍しいであろう。
最も屁の泡から虹が出たとしても、
モテることとはまったく無関係だと思うが。

小林 「さて、今年の仕事納め、
 ぼちぼちいくか」
北小岩 「はい」

果たして仕事納めとは。

老人 「毎年毎年ありがとうな」
小林 「それほどでもありませんよ。
 おい北小岩、そこに落ちとるで」
北小岩 「確かに。
 むっ、強烈でございます。
 持ち上げただけで、
 睾丸がつぶれそうになりました」
小林 「早くこの特殊ビニールに
 入れた方がええ」


実は先生と弟子には年末、
町に落ちている恋の残骸を掃除するという
重要な使命があるのだ。
もちろん恋の残骸は目に見えない。
しかし、師弟はまったくモテないがゆえに、
感じることができるようになったのだ。

北小岩くんが持ち上げたのは、
彼氏が彼女から金玉を蹴られて終わった
恋の残骸であった。
このようなものが落ちた状態で新年を迎えるのは、
非常に危険なことなのだ。

小林 「そこにもあるな」
北小岩 「はい。
 涙がいっぱい詰まっております」
小林 「理由はわからんが、
 悲しい結末だったんやろな」
北小岩 「先生の後ろにも見えますね。
 邪悪なものを感じます。
 始末しなければ」
小林 「違うと思うで」
北小岩 「うっ!
 先生の腐った屁でございました!!」

ともかく、恋の残骸の始末は、
誰にでもできるというものではないだろう。
モテな過ぎるがゆえに、
その存在を感じることができる。
こんな二人でも、
町に貢献することもあるのですね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2012-12-30-SUN

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