ブルブルブルッ
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北小岩 |
「う〜、
寒さのあまり起きてしまいました。
しまったでございます!
昨晩友人の家で熱燗をごちそうになり、
家にたどり着いたとたん、
三和土で眠ってしまったのでした」
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カチン
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北小岩 |
「下半身が重い気がいたします」
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コチン
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北小岩 |
「うわ〜!
大切なところを出したまま
眠っていたので、
金玉が凍っております!!」
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小林 |
「お前朝から、金玉がどうのとか、
どすけべなヤツやな」
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北小岩 |
「あっ、先生。
実はわたくし、
チンコがコチンコチン、
いえ、金玉が凍りついて
しまったのでございます」
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小林 |
「それは一大事や。
だが、くれぐれも熱湯をかけるなどの
愚を犯してはならん」
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北小岩 |
「どうしたらよいので
ございましょうか」
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小林 |
「そやな。
こういう時は、
町に出てみるこっちゃ。
ヒントがあるかもしれん」
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外はみぞれまじりであるが、
二人はおしくらまんじゅうをしながら
公園に向かった。
そこでは男らが、
今年の寒さについて語り合っていた。
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男らA |
「例年になく冷えるよな」
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男らB |
「特に金玉が冷えないか」
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男らの会話を聞いていた
行商人のような怪しげな男が、近づいていった。
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怪しげ
な男 |
「局部をあたためる
いいものがございますよ。
今ならキャンペーン中なので、
タダでお貸しできます」
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怪しげな男はずた袋から
タコ焼き器状の怪しげなものを取り出した。
北小岩くんが「わたくしにも」と
一歩踏み出した刹那、
走り寄ってきた男に路地に連れていかれた。
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走り
寄って
きた男 |
「ダメだよ。
あれを使っちゃ」
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北小岩 |
「どういうことでございますか」
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走り
寄って
きた男 |
「俺は二日前に金玉が凍ってしまい、
藁にもすがる思いで
あいつの機械を使ったんだよ」
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北小岩 |
「効果はございましたか」
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走り
寄って
きた男 |
「効果どころじゃないよ。
あれは孵化器なんだよ」
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北小岩 |
「どういうことでございますか」
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走り
寄って
きた男 |
「あのタコ焼器みたいなものに
金玉を入れてあたためるだろ。
何日かすると、
金玉が孵化してしまうんだ」
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北小岩 |
「なんと!」
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走り
寄って
きた男 |
「金玉が割れて
赤ちゃんみたいなヤツが
出てくるんだけど、
そんなかわいいもんじゃない。
金玉おじさんという名がぴったりの
気持ち悪いヤツなんだよ」
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小林 |
「それは危険な香りがするな」
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走り
寄って
きた男 |
「そうなんだよ。
あの怪しげな男は、日本中の、
いや、世界中の金玉を孵化させて
男を滅ぼそうとしているのかも
しれないぜ」
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小林 |
「それは一大事や!」
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金玉を特殊な方法であたため続けると
孵化してしまうらしい。
金玉おじさんとでも言うべきものが
出てくるという話だが、
それがどういう生き物なのか、
また怪しげな男が何者であるのか。
謎は深まるばかりである。 |