パラパラッ
「鬼は外!福は内!!」
バッ カリカリ ザザッ
「よし、次行くで」
「はい」
パラパラッ
「鬼は外!福は内!!」
バッ カリカリ ザザッ
「どや、俺の作戦はズバリやろ」
「さすがでございます!」
各家が豆まきをしている最中、
ひたすら怪しげな動きをしているのは、
小林先生と弟子の北小岩くんであった。
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小林 |
「所持金が2円しかない
俺たちにとって、豆は貴重な食料や」
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北小岩 |
「そうでございます。
豆をまく家の窓の下に潜んでいれば、
かなりの確率でキャッチし、
食することができますものね」
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小林 |
「そうや。
地面に落として
鳥や虫にやることはないわ」
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単に豆泥棒というだけの話しだろう。
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小林 |
「そういや、
今日はお呼ばれの日やったな」
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北小岩 |
「そうでございます。
行ってみましょう」
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先生の町のはずれには森があり、
そこの秘密の門を入っていくと。
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赤鬼 |
「待ってたおに〜」
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鬼の家があった。
以前、師弟は豆をぶつけられ
外に追いやられる鬼を憐れんで、
一緒に下着泥棒やのぞきをしたことがあり、
それがきっかけで懇意な間柄となったのである。
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小林 |
「今日は
ええもん見せてくれるという話やが」
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赤鬼 |
「これなんかいかがかおに〜」
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小林 |
「むっ、鬼のエロ本や」
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北小岩 |
「わたくし、初めて目にいたしました」
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赤鬼 |
「エロ本の目利きの先生だけど、
たまにはこういうのもいいでおに〜」
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小林 |
「確かに人間とはひと味違うな」
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赤鬼 |
「ささっ、どうぞおに〜」
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小林 |
「おっ、悪いなあ」
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師弟は熱燗をごちそうになる。
一升瓶を見ると『清酒 鬼満』と書かれている。
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赤鬼 |
「金棒で叩いたスルメもあるおに〜」
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北小岩 |
「いただきますでございます」
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このように、鬼のエロ本を肴に酒をあおり、
節分を過ごす師弟っていったい何なのであろうか。 |